暴力や貧困の中に生きる、未成年の少女たちの声を聞き続けてきた琉球大学教授の上間陽子さん(48)が、国際女性デーを前に琉球新報のインタビューに応じた。上間さんは、DVや虐待のために家にいられなくなって夜の街に出て、性被害に遭うことの多い沖縄社会の暗部を指摘。「支援で最も難しいのが『住』だ。彼女たちの眠る所が最も危うい」として、「本来は公助の仕事。マスコミは行政をどう動かすか見据えて議論を」と主張した。
上間さんは、2017年に刊行した著書「裸足で逃げる」で、沖縄社会が見て見ぬふりをしてきた、困難を生きる少女たちの姿を浮き彫りにし、衝撃を与えた。今も少女たちの支援を続け、17年から若年出産女性の調査をする。
戦後の沖縄社会が、子どもの世話などを共助「ゆいまーる」の精神で乗り切っていることについて「美談とされるけど、子どもにとって最良かは分からない。子どもの人権を守るには公共の仕組みが必要なのに、(コロナ禍での食品配布など)国や行政のすべきことを要求するという議論が出てこない」と話す。「父親にレイプされた子は布団を怖がる。虐待やDVに遭う、こうした女の子たちを救い、安全に暮らす場所を提供するシェルターをつくることこそ、行政の仕事だと思う」と語った。
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