条例違反の伐採、糸満市が対応せず 土砂採掘予定地 20年11月に確認


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新基地建設工事への使用が取り沙汰されている土砂の採掘現場=2月25日、糸満市米須(小型無人機で撮影)

 【糸満】糸満市米須の土砂採掘予定地に関して、糸満市は、市の風景づくり条例に違反する伐採行為があったことを昨年11月に認識していたにも関わらず、それ以降約4カ月間、業者に対して必要な勧告や届け出の催促をしていなかったことが11日、分かった。同日の3月市議会定例会一般質問で、浦崎暁市議の質問に大城拡建設部長が答えた。

 同市は景観を守る目的で、市風景づくり条例を定めている。通常、同条例14条に基づき、予定している開発行為が市の景観を損ねる内容になっていないかなどを業者と事前協議するため、業者は「事前協議の届け出」を市に提出しなければならない。その後、事業着手の30日前までに、国が定めた景観法第16条4項に基づく「行為の届け出」の提出が求められる。

 市米須の土砂採掘予定地に関しては、昨年11月12日に業者が「事前協議の届け出」を市都市計画課に提出した。市はその際に、今後「行為の届け出」の提出が必要になることを伝えた。

 同月末頃、市が採掘予定地を訪れた際に、条例に違反する伐採行為が行われていたことを確認したが、業者に対して必要な勧告や届け出の催促をしなかった。通常、違反行為があった場合は業者名の公表などの罰則があるが、今回は市が業者に勧告をしていないため、対象にならない。市は勧告をしなかった理由について、本紙の取材に対し明らかにしなかった。

 市は今後、景観法に基づく「行為の届け出」の提出を業者に求める予定。

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