当たり負けせず切れもある体に 狙うは五輪メダル奪取 女子ハンドボール・勝連智恵<憧憬の舞台へ>


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
県内開催だった日本リーグのHC名古屋戦でシュートを決めるオムロンの勝連智恵=2月20日、八重瀬町の東風平運動公園体育館(大城直也撮影)

 ハンドボール女子日本代表の強化合宿メンバーで石垣市出身の勝連智恵(31)=大阪・宣真高出―オムロン=は東京五輪を明確な目標に位置付け、進化を続けている。五輪の開催延期で、落ちていた動きの切れを取り戻しつつあり、増強した体を自在に扱えるようになってきた。代表入りを確実に果たし、狙うはメダルの奪取。「常にベストパフォーマンスを出せることが求められる」と意識を研ぎ澄ませる。

 日本代表の首脳陣が海外勢対策として促してきた選手の体重増加。勝連も2018年11月のアジア選手権前から取り組み、1年間で約5キロの増強を図った。「国際仕様」の当たり負けしない体となり、シュートの威力も増した。

 2019年に熊本で開催された世界選手権ではリザーブで7試合に出場して8得点を挙げ、女子代表過去最高の10位に貢献した。しかし満足感はなかった。急激なウエート強化で持ち前の俊敏性が低下した感覚があったからだ。

 五輪延期はモチベーションにも影響したが「自分に足りない部分を補う期間」と気持ちを切り替えた。肉体強化のために始めたタンパク質中心の食事は、脂質のバランスなどにも目を配り、よりストイックに取り組んだ。「体脂肪を落とし筋肉量を上げる、中身を変えるイメージ」で、体重を落とさず切れを取り戻す作業を丁寧に進めてきた。

 20年は18~19年と続いていた欧州遠征がなくなり、アピールする場として日本リーグがより重要性を増した。所属するオムロンは今季8勝8敗の5位でプレーオフを逃したが「勝ち切ることを意識しながらやってきた」と言い、20年度になってようやく招集された11月の第1回強化合宿も「感触としては悪くない」と確かな手応えを残した。

 日本リーグでの今季成績はフィールドゴール43本中27本成功で得点率は約6割だった。左サイドでの途中起用を念頭に「チームがきつい時に力を発揮できることが求められる」と冷静に自らの立ち位置を分析する。そのためにも五輪代表入りに向けて、さらに決定率を上げることが課題となる。

 開催国枠で巡ってきた大舞台への出場に「こういうチャンスは貴重。目の前にあるチャンスをつかみたい」とメダル獲得を目指す。その上で「まずはメンバー入り。オムロンに入ったころは代表入りのレベルではなかった。応援してきてくれた人たちのためにも、五輪の舞台に立ちたい」と目標を真っすぐに見つめる。

(謝花史哲)

【関連ユース】
「新しい時代を作りたい」鍛錬の先に県勢初の金メダル見据える 男子空手形・喜友名諒
表彰台の真ん中狙う49歳ベテランレーサー スピード向上へ貪欲 陸上車いすT52上与那原寛和
「不安はない」狙うのは代表入り 空白期間に下半身の筋力強化 重量挙げ・神谷歩
筋力強化の成果実感 理想の走りを追求 女子車いすマラソン・喜納翼