具志川商「足攻デパート」　虚を突く知名椋「遅そうな雰囲気出した」

　誇りとする「機動力野球」を体現するように具志川商ナインが甲子園のダイヤモンドを駆け回った。

　0―0の二回、チーム初安打の6番・比嘉力太を一塁に置いて、知名椋平が緩いカーブに合わせ三遊間を抜く。比嘉はスタートを切っており、一気に三塁へ進み好機を拡大させた。

　一走の知名は続く上原守凜の打席で、サインで二盗を成功させ、上原の安打で2点目のホームイン。さらに七回にも二盗を決めた。知名は「甲子園の舞台が打たせてくれた」と4打数3安打。出塁が増えれば足を使う機会も増える。警戒されながらも好スタートで八戸西の守りをかき回した。

　知名は試合前に八戸西主戦の福島のフォームを分析。「好投手なので揺さぶろうとたくさん研究して臨んだ」と準備して仕掛け、狙い通りに。試合後に「スタートが一番大事だが、リードの時に足が遅そうな雰囲気を出している」と“演技派”の一面も明かして取材陣を笑わせた。

　走りに自信はないと言うが、盗塁やエンドランを持ち味とするチームで「試合を重ねるうち、スタートを切るタイミングや感覚もつかめてきた」と体に染みついた直感を信じ走り出す。相手の虚を突く走塁で、具商旋風を巻き起こす。