【識者談話】「セクシャリティーは人権問題」認知広がる…性の多様性条例制定の意義 矢野恵美・琉球大法科大学院教授


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
矢野恵美・琉球大法科大学院教授

 浦添市の「性の多様性を尊重する社会を実現するための条例」は学校や職場など、市内のあらゆる場面で性の多様性の尊重を求めるものである。セクシャル・マイノリティー(少数者)の子どもたちにとって、日常生活や学校での無理解や無関心は命に関わる問題だ。職場においては、男女雇用機会均等法などで性的指向や性自認に関するハラスメントが規定されているものの、実際の事例は後を絶たない。

 教育や友達付き合い、さらには職場において、さまざまなセクシャリティー(法的性別、性自認、性的指向、表現など)の人がいることが可視化され、どの人のセクシャリティーも尊重されるべきである、と条例で示された意味は大きい。セクシャル・マジョリティー(多数者)のセクシャリティーは既に尊重されているので、本条例ができても生活に変わりはない。尊重される人が増えるだけだ。

 この1週間で、同性カップルが婚姻できないことは違憲とした判決や、同性カップルを事実婚と同視するとした最高裁決定が出ている。セクシャリティーは人権の問題だという考えが日本でも認知されるようになってきた。この流れが県内全体に広がることを願う。
 (ジェンダー法)

【関連ニュース】

▼沖縄初の「性の多様性条例」その内容は? 差別やアウティングを禁止、罰則は設けず

▼「大きな一歩」LGBTQ当事者ら喜びと期待 県内初の「性の多様性条例」成立に

▼ゲイカップルだけど戸籍は男女…2人が望む「結婚」<レイとユージの物語>