激戦地の土砂不使用、豊見城市議会が意見書否決 野党「風評被害」主張


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 沖縄戦戦没者の遺骨が残る可能性のある本島南部の土砂を、名護市辺野古の新基地建設などの埋め立てに使用しないよう国に求める意見書が26日、県内3町の議会で可決、1市議会で否決された。八重瀬、南風原が全会一致、与那原は賛成多数(賛成10、反対2)で可決した。一方、豊見城市は同様の意見書を反対多数(賛成8、反対9、退席4)で否決した。

 豊見城市議会(大城吉徳議長)は意見書に「辺野古」の文言は入れず、全会一致での可決を目指したが、一部野党が反対し否決となった。与党は「遺骨が残る土砂を使うことは人道上許されない」と賛同を求めたが、野党は「ルールにのっとった採掘業者までが風評被害に遭っている」などと主張し否決した。

 八重瀬町議会(金城秀雄議長)も「辺野古」の文言は加えず、「遺骨を含む土砂を埋め立てに使わないこと」を求めた。

 南風原町議会(玉城勇議長)は「南部の土砂を遺骨とともに埋め立てに使うのは人間の心を失った行為」と主張。「糸満・八重瀬からの土砂採取計画の断念」を求めた。

 与那原町議会(識名盛紀議長)は「遺骨を含む土を辺野古の埋め立てに使うことは断じて容認できない」として「本島南部の土砂採取計画の断念」を求めた。宛先は首相や沖縄防衛局ら。

 同様の意見書は26日時点で、県内12議会が可決、2議会が否決となった。

 これとは別に糸満市議会が採掘に対する懸念の解消を求める意見書を可決している。

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