社会

息子登場の記事が闘病の力に 脳梗塞で倒れた父、認知や歩行回復

次男・拓さんを取り上げた連載「白球の軌跡」を眺める嘉陽重芳さん(右)と妻の米子さん=2日、今帰仁村仲宗根

 【今帰仁】「脳梗塞で倒れた夫が、記事を眺めるうちに元気を取り戻した」。今帰仁村仲宗根の嘉陽米子さん(84)の夫・重芳さん(86)は、脳梗塞の後遺症でリハビリを続けている。かつて高校野球で活躍した次男・拓さん(52)を取り上げた記事が掲載されたのを機に、周囲も驚く回復を見せているという。

 重芳さんは6年前、脳梗塞で手術を受けた。後遺症で認知・歩行機能が低下し、一時は息子2人を思い出せないほどだった。

 拓さんを取り上げたのは本紙の連載「白球の軌跡」で、県高校野球の過去の名勝負を公式スコアや選手らへの再取材を基に再現した。2005年に掲載され、昨年6月12、13日の紙面で再掲載された。リハビリ施設の職員が「息子さんでしょう」と記事を切り抜いて持ってきてくれた。

 記事は1986年夏の県大会決勝を描いた「興南―沖縄水産」。沖縄水産・上原晃、興南・嘉陽拓の両投手の、緊迫した投げ合いを描いた。重芳さんは2枚の切り抜きを就寝時も手放さず、朝起きると取り出して眺めた。テレビばかり見ていた生活も変化した。夫婦で応援した試合や当時の興南を率いた比屋根吉信監督のこと、拓さんら3人の子どものことをよく話すようになった。

 言語障がいが残る重芳さんだが、記事掲載後、久々に会った知人はしっかりした話しぶりに驚いたという。重芳さんは「2日も続けて息子の記事が載ってね。皆さんに見てもらえて幸せ」と涙を拭いつつ語った。米子さんは「記事が刺激になって、夫婦共に力をもらった。まだ生きてみようという気持ちになった」と笑みをこぼした。
 (岩切美穂)

▼<白球の軌跡>1986年、興南―沖縄水産(上) 4年連続の決勝、速球派と技巧派対決

▼<白球の軌跡>1986年 興南―沖縄水産(下) 嘉陽、快「投」乱麻、上原も譲らず



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