植物防疫法で特殊害虫に指定されるアリモドキゾウムシについて、久米島に続いて津堅島でも根絶に成功した。「イリムサー」と呼ばれてきたイモ類の病害虫被害が減り、農家の生産拡大や品質向上につながる。一方で、同じ特殊害虫であるイモゾウムシの根絶法に見通しが立っていないこともあり、生のサツマイモや紅イモを県外市場に出荷することはまだできない。
南西諸島には、サツマイモなどに寄生する病害虫がアリモドキゾウムシのほか、イモゾウムシ、サツマイモノメイガもいる。国内全体に虫の生息域が広がるのを防ぐため、生のイモなどを県外に出荷することが禁止されている。
県は2007年から、ウリミバエ根絶でも成果を上げた不妊虫の放出などで、津堅島でアリモドキゾウムシ駆除を進めてきた。放射線で不妊化したゾウムシを大量に野外に放出し、野生種同士が交尾する機会を奪って最終的に根絶する仕組みだ。
地道な取り組みにより、津堅島では20年5月まで1年以上にわたってアリモドキゾウムシが見つからず、国による根絶の最終確認に移った。農林水産省はオスの虫を誘引するトラップや、虫が寄生する植物(寄主植物)約6万株を調査するなどして生息状況を調査。統計の専門家の確認なども経て、根絶を認めた。
今後、根絶が確認された久米島、津堅島への再侵入の警戒に加えて、他の病害虫に対する根絶法の確立も引き続きの課題だ。
農水省は28日に省令を改正し、津堅島へのアリモドキゾウムシの再侵入を水際で防ぐ規制を始める。船が往来する港の関係者や島に生鮮品を運ぶ業者などに、津堅島への持ち込みが禁止される寄主植物の周知を徹底する。
病害虫の根絶による、県産イモ類の県外出荷の実現に向けて、県農林水産部の担当者は「イモゾウムシの根絶技術開発に力を入れたい」と強調した。
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