交尾をしたまま飛び回る虫が大量発生している―。そんな報告が沖縄県内各地で相次いでいる。変わった生態から、この数日、会員制交流サイト(SNS)やラジオなどで「交尾虫」と呼ばれて話題を呼んでいるが、正体を知らない人も多い。県衛生環境研究所によると、正体は「ヒイロトゲナシケバエ」とみられる。従来は沖縄に生息せず、台湾などで確認されていた。この数年で八重山地方で確認され、その後本島地方でも見つかり、春や秋に大量発生することがある。だが外来種のため名前が知られていないようだ。
県衛生環境研究所によると、ヒイロトゲナシケバエに毒はなく、成虫が人に害を与えることはない。ただ、大量発生することなどから「不快害虫」と呼ばれることもある。幼虫の生態は海外でもあまり知られていないという。同研究所には主に本島中部から目撃情報や役場からの問い合わせがあるが、南部などでも確認されているという。
交尾しながら飛行するユニークな姿から、海外では「ラブ・バグ(愛の虫)」「ハネムーン・フライ(新婚旅行バエ)」などロマンチックな名前で呼ばれることもあるという。
県衛生環境研究所の担当者は「大量発生がどれくらい続くかは不明だ。過去数年の状況からすると、そう何カ月も続くことはないだろう」と話した。
(島袋良太)
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