「強い危機感と衝撃」。沖縄本島南部の女子高校生(当時)を含む少年3人が覚醒剤取締法違反(共同所持)などの容疑で逮捕されたことについて、本紙が事件を伝えた21日朝、県教育委員会幹部らは緊急会合を開き、教育長名で出すコメントの表現を調整した。3年連続で大麻で高校生が逮捕される事件が続き、今年はより深刻な覚醒剤での逮捕者が出た。事件が発覚するたび、薬物乱用防止の取り組みを強化していたが、薬物汚染の広がりを押さえられず、教育関係者には危機感が募る。
県教委は21日、県立学校83校を対象に薬物乱用に関する特設授業の実施を決めた。期間は26~30日までで、大型連休前に実施する。金城弘昌県教育長の録画メッセージを流し、薬物乱用防止を呼び掛ける。ロングホームルーム(LHR)の時間を利用する。
県教委は昨年12月、高校生の大麻所持の逮捕を受け、緊急校長会を開き、薬物乱用防止教育の充実を図るよう促してきた。
金城県教育長は今回の逮捕に「大変残念だ。強い危機感と衝撃を受けている。県民一丸となった薬物乱用防止の取り組みが必要であるとの認識の下、学校、家庭、地域、関係部局、県警などの関係機関と連携し、児童生徒の薬物乱用防止教育の充実に取り組む」とコメントを発表した。
県教育庁は今年2月下旬、県警からの連絡で高校生が逮捕されたことを知ったという。その後、覚醒剤所持での逮捕になったが、詳しい内容は知らされていなかった。ある教育庁幹部は「とてもショックだ。薬物乱用防止に向けて粘り強く取り組んでいくしかない」と話した。
現役の高校教諭は、今回の事件を受け「いじめや犯罪被害を防ぐため、SNS(会員制交流サイト)の使い方に気を付けるように言っていたところだった」と悔しさをにじませた。別の教諭は「薬物乱用防止の授業は毎年開いている。生徒はまじめに聞き、理解していると感じていたので、信じられない気持ちだ」とショックを隠せない様子だ。