
法律制定に直接関わる国会議員が「どちらかと言えば」も含め、9人全員が賛成としたことは評価したい。選択的夫婦別姓は、制度の必要性を訴えている当事者の声をきちんと聞いて理解すれば、論理的に反対する理由はなくなる。9人はこの問題の論点への理解がうかがえる。
反対や無回答の県議の多くが、その理由に「議論が不十分」との回答を選んでいる。法制審議会が選択的夫婦別姓制度を盛り込んだ民法改正案を答申したのは1996年で、議論は20年以上続いている。議論が不十分なのではなく、反対する議員が当事者の声を聞いていないだけだろう。
「家族の一体感が弱まる」「子どもに悪い影響がある」というのは、いずれも論理的な根拠がない、漠然とした理由だ。現在も事実婚や再婚家庭などで、家族の姓が異なるケースはあるが、「姓の違いによって一体感が弱まった」と言っている当事者はいない。
日本では婚姻した夫婦のうち、夫の姓を名乗る割合は約96%に上る。改姓による不利益を受けるのはほとんどが女性で、両性の本質的平等をうたう憲法24条に反している。多様性を尊重するためにも、別姓も選べる制度にすべきだ。
▼「同性婚」「選択的夫婦別姓」県議・国会議員アンケートの全回答はこちら