【記者解説】多様な生き方尊重する「結婚」へ 政治家の役割とは<県議・国会議員アンケート>


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 選択的夫婦別姓制度と同性婚の賛否に関するアンケートで、県議の約7割が賛成の意を示した結果からは、二つの問題への理解の広がりがうかがえる。結婚は個人の生き方に大きく関わる法的な制度だ。夫婦別姓も同性婚も、導入されれば多様な生き方を尊重できるという点で共通する。

 選択的夫婦別姓については、国会議員が全員賛成意見だったほか、県議も積極的な賛成姿勢が目立った。夫婦が同じ姓を名乗らなくてはならないという現在の制度は、明治時代に始まったものだ。女性の社会進出もあり、改姓によって仕事や生活に支障が出ている人は少なくない。制度導入を求める声は全国的に高まっており、県内でも昨年12月に任意団体「選択的夫婦別姓・陳情アクション沖縄」が発足した。

 一方、同性婚に関しては国会議員3人が「どちらかと言えば反対」・無回答とした。県議の賛成意見33人中、「どちらかと言えば」が12人で、選択的夫婦別姓と比べると、やや後ろ向きな姿勢が見られた。

 同性同士の結婚を認めない民法などの規定を違憲とした今年3月の札幌地裁判決は、「性的指向は自らの意思にかかわらず決定される個人の性質で、性別や人種と同様だ」と指摘した。性的マイノリティーの問題は、生物学的な性と性自認が一致する多くの人にとって、人ごとになりがちだ。だが、多様性を認め合うことは、誰もが生きやすい社会づくりにつながる。

 今回のアンケートの自由記述欄には、結婚の本質を考える言葉が並んだ。次呂久成崇氏は「『結婚』とは何か。私はその人がその人らしく生きる幸福追求権だと思う」と記した。喜友名智子氏は「幸せな婚姻世帯が増えれば、社会全体の幸福度も上がる」と指摘した。政治家には当事者の声に耳を傾け、時代の変化に合わせた法整備への関与が求められる。

(前森智香子)

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