朽ちゆく戦跡…米軍艦「エモンズ」崩壊の危機 日本軍特攻で沈没、沖縄の海底に


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船体の一部が崩落した米海軍の掃海駆逐艦「エモンズ」の船尾付近 =4日、今帰仁村古宇利島近海の水深約45メートル

 1945年4月に日本軍による特攻を受け、沖縄県今帰仁村古宇利島沖に沈んでいる米海軍の掃海駆逐艦「エモンズ」の船体の一部が崩落し、劣化が進んでいる。エモンズの発見当初から調査研究を続ける杉浦武さん(54)=嘉手納町=の案内で、本紙は18日までに現場を確認した。船体は装甲の一部などが剝がれ落ち、周辺の海水はオイルで黒くよどんでいた。杉浦さんは「少しずつ劣化しているのは感じていたが、ここまで大きな損壊は初めて。沖縄戦の痕跡が崩れ落ちたように見える」と“海の戦跡”が朽ちていくことに危機感を募らせている。

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 著しい崩壊が確認されたのは、エモンズの船尾に備えられた第3砲塔付近。発見当初は甲板の台座上にあった機関砲だが、今は崩れ落ち、砲の先は海底で砂をかぶっていた。

 戦争遺跡に詳しい国学院大研究開発推進機構の池田栄史教授は「文化財保護法では戦争の遺跡や遺物は所在の市町村が主管することになっている。主体となる自治体が対応を率先しなければ、多くの戦跡が失われていくことになる」と警鐘を鳴らす。(記事と写真・高辻浩之)

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