宮古島市長不信任案を否決 市議会、野党も分裂 し尿処理施設の中止判断巡り


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 【宮古島】宮古島市議会は22日、6月定例会最終本会議で座喜味一幸市長の不信任決議案を反対多数(反対14、賛成9)で否決した。動議を提出した濱元雅浩市議は、し尿処理施設整備事業を巡る座喜味市長の姿勢を「独断で中止を決定した。独裁的な市政運営で市の成長発展の阻害要因だ」として不信任を求めた。

 宮古島市議会は定数24のうち、山里雅彦議長を除いて、与党5人に対し野党18人。不信任案を可決するには出席議員の4分の3以上の賛成が必要だが、野党の半数(9人)からも賛同が得られなかった。

 濱元氏は不信任決議案で、し尿処理施設整備について問われた議会での市長答弁を、「不明確な答弁や責任転嫁に終始し、議会を混乱させた。市民や議会を愚弄(ぐろう)する独裁的な市政運営だ」などと批判した。

 反対した市議らは反対答弁で「独断で中止との文言は事実でない」や「(計画に)検討を加えて市民負担がないようにとの観点からの変更」だと強調した。

 宮古島市では、市平良荷川取にある公共下水道処理施設で、し尿を希釈して処理している。下地敏彦前市政時の2020年3月、市は市伊良部佐和田に、し尿処理施設を新設する計画を決定した。事業費は35億円で3分の2(約23億円)は防衛省の補助金を活用する。21年度から3年で整備し、24年4月の供用開始を目指していた。座喜味市政となった3月議会でも本年度の予算として約3億円が計上され、可決された。

 一方、市は荷川取の浄化槽の増設にめどがついたことから、事業費圧縮と市民負担減を目指して計画の見直しを始めた。座喜味市長は「(計画決定時と)状況が変わった。市民に負担が増える懸念があるため現行計画の妥当性を検討している」と説明した。

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