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7月11日投開票の那覇市議会議員選挙が4日に告示された。40人の定数に63人が立候補するという大激戦だ。それにしても63人という立候補者の多さ。掲示板にずらっと並ぶポスターを見れば見るほど「この中から1人だけ?選べない」という人も多いだろう。そこで、数々の選挙を取材してきた、選挙ウォッチャーでライターの宮原ジェフリーさんに候補者の情報を集める方法を教えてもらった。(田吹遥子)
■手っ取り早いのはSNS
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コロナ禍で、さらに緊急事態宣言下ということもあり、大規模な集会などを開くことが難しくなっている候補者。自らの出馬の理由や訴えを発表する場としてSNSを始めとしたインターネット上を「舞台」とすることがもはやメーンになりつつある。Twitter、Facebook、インスタグラム、YouTube、公式LINE…候補者ごとにアカウントを持ち、政策や思いを発信している。
ジェフリーさんが気になったのは「ストーリーズ」機能だという。特にインスタグラムでは、気軽に生配信ができる機能もある。「インフルエンサーとのコラボやトークの中で政策を紹介して活用する候補者もいますね」。
ほとんどが候補者名、候補者の選対事務所名でアカウントを作成しているので、まずは目に付いた候補者の名前で検索してみては。
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■会いたかったら交差点へ
告示され、一斉に遊説や街頭演説など選挙運動に繰り出す候補者ら。候補者に会える貴重なチャンスでもある。ジェフリーさんがまずチェックするのは、候補者や運動員が車に向かって手を振る「手振り」や街頭演説をする時間と場所。SNSで場所と時間を知らせる候補者が多いようだ。
選挙戦になると、まちなかをぐるっと回ってチェックしているという、ジェフリーさんいわく「交差点にはよく候補者が立っていることが多いです」。確かに、前回の那覇市議選を取材した記者の経験からも、国道や大きな施設がある近くの交差点に立って手を振る候補者は多い。主に安里交差点、久茂地交差点、県庁前、新都心のサンエー那覇メインプレイス前などだろうか。
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それにしてもこの「手振り」。どのような意味があるのだろう。「東京では駅前での街頭演説がおなじみです。でも沖縄は車社会なので、車内の人に向かって少しでも顔を覚えてもらおうとやってるのでしょう」。「あと、元々応援している人に向けて『ちゃんと活動しているよ』というアピールにもなっているようです」。
交差点を通るときに、誰がいるかな、候補者以外の運動員がどのくらいいるのかな、とチェックしてみるのも候補者を知る方法の一つかも。直接話をする機会もあるかもしれない。
■選挙運動にコロナ禍の影響も
しかしこの外での選挙運動。コロナの影響で変化があるようだ。都議選を取材したジェフリーさんによると、今回は「密」を避けるため大規模な集会はほとんどなく、さらにこれまで頻繁にあった大規模施設前での街頭演説も減ってきているとのこと。その理由を「そもそも以前より人が集まっていないということがあると思います」と話す。「今は在宅勤務の人も増えているので、都議選では選挙カーが住宅地を回るということが以前より増えた印象です」。
今回の那覇市議選も都議選と同様、コロナの影響を受けているようだ。「SNSをみても演説予定時間や場所などの情報が少なく感じます」とジェフリーさん。たまたま駆けつけた演説場所には、はちまきを巻いた多くの支持者が集っていた。そこでは封筒入りのビラをもらうことができたが、そこに集まっている人たちはどこで演説場所や時間を知ることができたのか分からない。
ジェフリーさんは「積極的に情報を取ろうとしても取るのが難しいい状況ですね」とつぶやいた。
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■よりディープな情報を知るには自治会
その人の人柄やこれまでの活動を知るためにジェフリーさんが訪ねるのは地域の公民館や自治会だという。直接その地域の人に候補者のことを聞いて情報収集している。主に地域の代表や地域活動を実績に上げている候補者が気になったら、この方法もいいかもしれない。
■ジェフリーさんの激推しは「選挙公報」
そしてジェフリーさんが最後に「激推し」したのは「選挙公報」。各自治体の選挙管理委員会が発行するもので、候補者のプロフィルから公約まで自由に書き連ねている。ジェフリーさんが推す理由は「誰でも等しく取得できる情報だから」という点。那覇市が全戸に配布しているので、那覇市民ならどの家にも届く。紙媒体なのでネットに不慣れな人にも最適だ。
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さらに、こちらは候補者にとっても平等。ポスターや選挙ビラは候補者の資金力によって質や量が異なるため、全ての候補者の情報が有権者に届くわけではない。その点、選挙公報は全候補者に同じスペースが与えられているため、改めてフラットに候補者情報を確認・比較できるのだ。候補者の人となりや雰囲気も文面からなんとなく感じ取れるかもしれない。
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■選挙ビラにも公報にもない…そんなときは
選挙ビラにも公報にもない、でもこの問題について、この政策について、あの候補の考えが気になる…そんなときは、新聞のアンケート結果が参考になるはず!琉球新報デジタルでは全候補者のプロフィルや公約、これまでの実績など詳しい情報を無料で掲載している。>>候補者のプロフィル・一問一答はこちらから
那覇市民の生活に関わる選挙。63人の中からあなたは誰を選ぶ?いろいろな方法で決めて、大事な1票をぜひ行使してほしい。
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宮原ジェフリー(みやはら・じぇふりー)1983年東京都生まれ、琉球大学法文学部卒業、那覇市のNPO法人前島アートセンター事務局、武蔵野美術大学美術館職員などを経て、現在会社員として働く傍ら、ウェブメディア「HUB沖縄」のライターとして選挙やアートに関する記事を発信している。著書に2018年の沖縄県知事選などを取材した『沖縄<泡沫候補>バトルロイヤル』(ボーダーインク)がある。