【那覇市議選・解説】野党躍進、市と県のコロナ対策に不満反映か 求められる「市民に近い政治家」


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那覇市役所

 城間市政2期目で迎えた今回の那覇市議会議員選挙は、野党系が19議席を獲得し、改選前の14議席から5議席を増やした。今回の選挙では、城間市政への評価や新型コロナウイルス対策が主な争点となった。野党が議席を増やしたのは、城間市政や、連携する玉城県政の新型コロナ対策に対する不満が一因となったとみられる。

 与党は定数40に対し、過半数を狙えない19人しか候補者を擁立できず、選挙戦の序盤から守りの姿勢に入っていた。野党系は23人が出馬し、勢力を拡大した。ただ、野党系も過半数には達しない。野党系の中でも自民と公明は採決で異なる判断をすることも多く、公明や中立の動向が鍵を握っている状況は変わらない。今後も中立系の取り込みが焦点となりそうだ。

 一方、投票率は46・40%となり、過去最低だった51・20%を下回った。緊急事態宣言が影響したとみられるが、県独自の緊急事態宣言下で実施された2月の浦添市長選は前回市長選の投票率を上回っており、緊急事態宣言だけが投票率低下の原因だとは言いがたい。

 今回市議選の新人候補者の中には「現職議員が何をしているのか分からない」と出馬した者もおり、有権者への取材では「選挙の時しか話を聞きに来ない」という苦言も聞かれた。政治への信頼回復は急務だ。

 那覇市議会は議会改革に積極的に取り組んできたが、今後一層、「最も市民に近い政治家」「市民と共に課題解決をできる政治家」になることが求められる。 

(伊佐尚記)

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