与那原署と県警組織犯罪対策課が南城市佐敷津波古の「天の浜」で、県の許可を得ずに、飲食店の臨時営業をしたとして「半グレ」組織の男らを食品衛生法違反の容疑で逮捕した。男らは地域住民憩いの海で、約2年にわたって無許可の「闇レジャー」営業を行っていた。地域住民からも「入れ墨の入った男たちが砂浜を占拠していて怖かった」などの声も上がっていた。コロナ禍で県内公営ビーチのほとんどが休業や閉鎖を強いられている中、半グレ組織は白昼からの堂々とした違法営業活動で利益を得ていた。
あらゆる法令駆使
組対課によると、半グレの男らは2020年夏ごろから、天の浜での違法営業を始めていた。それ以前は糸満市内の公営ビーチ隣で、同様な「闇レジャー」を行っていたが、管理者がトンブロックを設置するなどしたため、南城市佐敷津波古の「天の浜」に移転してきたとみられている。
天の浜での違法営業には県内外の暴力団構成員を含む反社会的勢力がレジャーに興じる様子も確認されている。南城市佐敷津波古自治会によると、危険な水上バイクの航行など傍若無人な利用客などもいたことから、地域住民らは与那原署に不安の声を訴えていた。
県警はこうした地域住民の不安に応じる形で捜査を開始。第11管区海上保安部とも連携し、あらゆる関係法令の適用を検討したが、最終的に生肉や焼きそばを無許可で提供した食品衛生法違反容疑での事件着手にこぎつけた。
売り上げ数千万円超え
捜査幹部は「一人4万円でマリンレジャー遊び放題、飲酒を含む食べ飲み放題を提供していた。荒稼ぎしていたのは間違いない」とし、半グレの男が指定暴力団旭琉会構成員とも関係を持つことに着目する。県警が営業実態を確認するために内偵捜査を続けていた今年8月15日には最大で約150人の利用客がいたことを確認。この日だけの単純計算で約600万円の売り上げを得たことになる。県警はコロナ禍で他の公営ビーチが営業自粛などを強いられる中、この2年の「闇レジャー」営業で得た売り上げは数千万以上に上るとみており、暴力団組織の資金源となっていた可能性を視野に捜査を進めている。
南城市佐敷津波古自治会の高江洲順達会長は「今回の逮捕は一歩前進だが、また、ビーチで横暴な水上バイクの運転が行われないか心配だ。水上バイクを取り締まる法律を整備しないと、子どもたちや地域住民が危険な目に遭うかもしれない」と述べた。
(当間詩朗)
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