りゅうちぇるが考える本当の自己肯定感 東京で身につけた5つの武器とは


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 沖縄県出身のタレント、りゅうちぇるさんが初の著書「こんな世の中で生きていくしかないなら」(朝日新聞出版)を7日、出版した。多様性、自己肯定感、人間関係、子育てなどについて、日頃から感じているりゅうちぇるさんの率直な思いがつづられている。オンラインでりゅうちぇるさんにインタビューし、著書について聞いた。2回に分けて紹介する。(聞き手・田中芳)

初の著書本を出版したりゅうちぇるさん

―初の著書が発売された。今の気持ちは。

 「『りゅうちぇる』ではなくて本名の『龍二』の部分でいっぱい言葉を残せたと思う。ポジティブで明るいメッセージを贈るのは割と簡単だが、内容が浅はかになってしまい、薄っぺらい本になりがち。そんな中でも、きれい事ゼロで皆が本当に心の底から納得してパワーをもらえるような本に仕上げたかった。完成本にはとても満足している」

―「諦める、割り切る、逃げる、戦わない。そして、期待しないこと」という「5つの武器を身につけた」考えに至るきっかけは。

 「一番に思うのは、芸能のお仕事をさせていただいているにもかかわらず、周囲の声や目を気にしすぎて、自分がなくなってしまう感じがあった。そうさせないように必死に生きる中で身につけた技だと思っている。テレビに出る前、沖縄にいた頃も、女の子っぽいところを、からかわれたりして自分を見失っていた時期があった。僕らしさがあるから仕事があるのに、自分を見失ったらダメだと思うようになった。ちゃんと武器を身につけられるようになったのはテレビに出てから」

―多様性について考えることは。

 「今でも『パパなのにメークして』とか自分の生き方を否定されることもある。だけど否定する人のことを『何でそんな風に言うの』って思いたくもない。メークしているお父さんは嫌だなって言う子どももいるし、こういうお父さんは嫌だなって思うことは自由であってもいいんじゃないかな。僕が『違うよ、そんなこと思わないでほしい』と強要するのもまた違うかなって。多様性っていういろいろな意見があっていい。武器を身につければそういう考えもあるよねって割り切って考えられる。本当にながーくゆっくりそういう考えになっていった」

―本当の自己肯定感とはどういうものだと考えるか。

 「急に自分のことを好きになろうと思っても、実践しにくくて本当にむずかしい。自分の機嫌を自分でとれる人、把握するということが一番の自己肯定感に近くなると思う。自分のことを甘やかしてあげられるというのは、自分が好きじゃない人でもできやすい。根拠のない自信はとっても大事で、東京に来ていっぱい悔しい思いもしたが、なんとなくきっとうまくいくというような自信があった。きっと自己肯定感は、貯金と一緒で積み重ねができていることだと思う」

―具体的にどんなことを実践したらよいか。

 「例えば誰かと目が合った時に、誰でも良いからにこっとしようとか、小さいことでも『ありがとう』を言うことを意識しようとか、かばんにきれいなハンカチを入れてみようとか何でもいい。自分のテンションが上がるものをやり続けたらすごく自信になる。続けられなかったら自分を責めるんじゃなくて『向いてなかったことに早く気づけて良かった、次探そう』と思えるような心をあらかじめ意識しておく。この考えは環境問題にも取り入れている。マイバッグやマイボトルを持っても別に意味ないんじゃないかって思うけど、それでも365日、少しずつやれば大きなパワーになり進歩になっている。仕事を続けられたらもっとすごいし、学校や習い事を続けられることの方がとってもすごいな、と考え方を変えるのもいいと思う」

 

「こんな世の中で生きていくしかないなら」(朝日新聞出版)

≫「SNSで小さな居場所をいっぱい作っていた」 りゅうちぇる流自分の守り方 に続く

 


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