辺野古、軽石で工事中断続く サンゴ移植は継続 反対の市民「工事の税金で軽石対策を」


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土砂の陸揚げ作業に使われる大浦湾側のK9護岸。台船が接岸しているが、陸揚げ作業や工事車両の行き来はみられなかった=9日午後1時すぎ、名護市の大浦湾

 【辺野古問題取材班】名護市の大浦湾周辺に軽石が漂流・漂着し新基地建設の工事が中断した件で9日、沖縄防衛局は引き続き土砂の陸揚げ作業を中断した。防衛局は再開時期について明らかにしておらず、軽石の漂流がなくなるまで事実上、埋め立て工事は中止するとみられる。一方、サンゴ移植作業や資材の搬入は続いており、新基地建設に反対する市民からは「辺野古の工事をやめて軽石撤去に税金を使うべきだ」との声が上がった。

市民 「基地やめ軽石対策を」

 同日午後、大浦湾では土砂を運搬する台船や作業船が動きを止め、静かに停泊していた。土砂の陸揚げに使用されるK9護岸には台船が接岸していたが、作業員の姿はなく、土砂を埋め立て区域に運ぶ工事車両の行き来もなかった。

 一方、新基地建設を監視する市民によると、辺野古崎側近くのN2護岸では、造成工事を続ける様子が確認された。サンゴ移植作業を行う防衛局の船も午前中、出港した。

 米軍キャンプ・シュワブのゲート前では資材搬入が続いた。市民ら約20人が集まり「工事をやめろ」とシュプレヒコールを上げた。

 この日3回にわたって計約70台の大型車両が土砂などを搬入したが、市民らは座り込みで阻止を試みたほか、搬入中もプラカードを掲げるなどして抵抗した。

 プラカードを掲げて工事中止を訴えた柴田鉄也さん(34)は「漁業関係者も打撃を受けている。辺野古の埋め立て工事に税金を使うのではなく、今こそ県民のためになる(軽石の)撤去作業に資金と労力を使うべきだ」と訴えた。

 沖縄防衛局は軽石が漂流・漂着する中での今後の作業について本紙の取材に対し「現地の状況を確認し、安全に十分に留意の上、作業の実施を判断する」と回答した。サンゴ移植については「移植先や移植元の状況を踏まえ、安全に十分に留意した上で作業を実施できると判断した」としている。


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