【国頭】県内各地で大量に漂着しているのが確認されている軽石は港湾やビーチを埋め尽くしているほか、漁業にも深刻な影響が表れ始めている。国頭村の辺土名漁港では25日、いけすで蓄養していたグルクマ150匹以上が軽石を飲み込み、死んでいるのが見つかった。国頭漁業協同組合によると蓄養グルクマに関して現時点での推定被害額は約100万円。漁協関係者からは「ひどい状況。災害だ」と悲鳴が上がった。
死んだグルクマの胃の中には大量の軽石が詰まっていた。定置網で捕獲したものを出荷に向けて漁港内の海面に浮かべたいけすに入れていた。いけすにも軽石が流れ込んだとみられる。漁協によると生きているグルクマも軽石を飲み込んでいるのが確認された。同じように死ぬ可能性があるとして回収した。
国頭漁協は他の蓄養魚の生存調査を実施する方針。蓄養グルクマは県外に出荷する予定だったが、一時断念することになった。被害はさらに拡大する可能性もある。村田佳久組合長は「ここまで長期化するとは思わなかった。実害がだんだん出てきている」と声を落とした。軽石は漁港や沖に大量に漂流している。漁船のエンジントラブルについても同漁協は注意を呼び掛けている。
辺土名漁港では滞留する軽石のそばにカワハギの仲間とされる小魚が大量に確認された。珍しい光景を見ようと、辺土名高の教諭や生徒らが現場を訪れ、観察していた。漁協関係者は「普段はあまり見かけない」としており、同校サイエンス部顧問の東竜一郎教諭は「軽石とともに漂着したのではないか」と推測した。
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