ミサイル弾薬が市街地を通過 宮古島に自衛隊本格搬入、市民が強く抗議


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
フォークリフトを使ってコンテナから弾薬とみられるものを運び出す陸自隊員=14日午後2時8分、宮古島市城辺保良の陸上自衛隊保良訓練場弾薬庫

 自衛隊は14日、沖縄県宮古島市城辺保良の陸上自衛隊保良訓練場に地対艦、地対空ミサイルなどの弾薬を搬入した。海上自衛隊の輸送艦で平良港=市平良=に弾薬類を運び、陸路で市街地を通過して約20キロ離れた訓練場弾薬庫へと搬入した。防衛省は今年6月にも空路で少量の弾薬を保良訓練場に運び入れている。今回、陸自の車両15台が訓練場に弾薬を運び入れた。

>>>【写真特集】着岸する自衛隊の輸送艦

 搬入した弾薬の種類や量など詳細は明らかにしていない。ミサイル搬入に反対する市民らは平良港や保良訓練場前に駆け付け、「島にミサイルはいらない」「武器は持って帰れ」などと拳を突き上げ、抗議した。

 保良訓練場は保良集落に隣接している。自然災害や人的事故、有事の際の住民の安全担保を巡り、国は住民の避難について「自治体が示すもの」などとして明示していない。

 14日までに複数の市民団体が「住民の安全担保への十分な説明がないまま、合意形成もせず搬入を強行している」などとして搬入中止を求める抗議声明を出した。また、弾薬搬入に伴う平良港の使用を許可した座喜味一幸市長にも許可取り消しなどを求めていた。
 

 保良訓練場は、市上野野原の陸上自衛隊宮古島駐屯地に配備されている地対艦・地対空ミサイル部隊の弾薬を保管する目的で2019年に建設が始まった。建設予定3棟のうち、21年4月までに2棟が完成した。

 同訓練場建設地では土地所有権を巡る問題もある。防衛省から依頼を受けて訓練場建設地の土地取得を進める市内の採石業者が地権者の相続人を相手取って提訴。福岡高裁那覇支部(二審)は今年10月、一審の那覇地裁平良支部判決を支持し、争いのある土地のうち、1カ所で業者の所有権を認めない判決を出した。

 また宮古島へのミサイル弾薬搬入を巡っては19年に、ミサイルは「置かない」としていた陸自宮古島駐屯地=市上野野原=内の「保管庫」に、中距離多目的ミサイルの弾薬などが持ち込まれていたことが判明。当時の岩屋毅防衛相が謝罪し、弾薬類を島外へ搬出した。


 

▼【深掘り】南西諸島で加速する陸自ミサイル配備 その背景は?

▼市長は「許可」、知事は批判せず

▼「すごい近い…」座間味沖で2機が低空飛行【動画】

▼【深掘り】政府「敗北だ」沖縄県「尻ぬぐい」、米軍汚水を放出前に引き取り処理