軽石、20日にも宮古島に漂着 沖縄県内の漁船、半数が出漁自粛


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浦添市西海岸に漂着した軽石=15日午後、浦添市西洲付近

 小笠原諸島の海底火山噴火の影響とみられる大量の軽石が沖縄県内に漂着している問題で、国立研究開発法人海洋研究開発機構(JAMSTEC)のシミュレーションで、風の影響が強い場合、早ければ20日前後に宮古島へ漂着する可能性があることが17日、明らかとなった。同機構によると、漂流する軽石の一部は海流に乗って北上するものの、北風の影響を受けると今後も長期間にわたって沖縄近海で滞留する。県は17日、船舶や漁業、観光などへの影響の長期化は避けられないとして、玉城デニー知事をトップとする「県軽石問題対策会議」の初会合を開き、全庁的な対策を協議した。

 対策会議では各部局から最新の被害状況が報告され、16日時点で33市町村で軽石の漂着が確認された。港湾への漂着は県管理18港と那覇港の計19港。漁港は42港で漂着が確認され、うち10港で漁業活動に支障が生じている。農林水産部によると、県内の登録漁船の約52%に当たる1570隻が出漁を自粛している。

 土木建築部によると、漂着軽石が船舶の航行に支障をきたすとして、国の港湾関係災害復旧事業を活用し、県内の12港湾で撤去作業を実施している。16日時点の概算で、港湾内の撤去費用は10億1200万円に上る見通しだ。

 一方、国頭村、読谷村、八重瀬町で軽石を採取し、含有金属量など9項目を検査したところ、全てで土壌環境基準値を下回った。県は「漂着した軽石の有効利用に際して環境安全性に問題はない」と判断し、撤去した軽石の土木建築資材や農業用資材としての利用に向けて検討を急ぐ。

 観光分野の影響については、ダイビングで80件以上、200人以上のキャンセルが出ている。

 宿泊施設も4施設以上でキャンセルが出たほか、釣り船の運航中止やグラスボートの欠航などの影響も報告された。

 県はキャンセルなどの被害を把握するため、観光協会やマリン事業者、宿泊関連事業者などにアンケートを実施して情報収集していく方針を示した。

 玉城デニー知事は「除去や処分に関し、問題が長期化するのは明らかだ。課題に応じた柔軟なメンバー構成で、多くの視点や意見を踏まえ、全庁体制で迅速かつ効果的に対応していきたい」と述べた。


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