2019年10月に焼失した首里城の復元に向けて作業を進めている、国の「首里城復元に向けた技術検討委員会」(高良倉吉委員長)は1日、早ければ22年10月にも正殿の本体工事に着手する方針を明らかにした。26年度の完成を目指す。大龍柱の向きは「暫定的な結論」として、焼失前と同様に相対(向かい合わせ)で復元すると発表した。来年1月30日に県民向けの説明会を開き、決定経過などを詳しく説明する。
同日、那覇市内で21年度の第2回会合が非公開であり、終了後の会見で決定事項を公表した。
大龍柱の向きについて1992年の復元時は、寸法記(1768年)や尚家文書(1846年)に描かれた絵を根拠に、相対向きで復元された。2019年の焼失後、大龍柱が正面向きで映っている古写真(1877年)が見つかり、今回の復元で大龍柱の向きがどうなるのか注目が集まっていた。
高良委員長は、1846年の記録から古写真までの約30年間に大龍柱の向きに変更があった可能性を示唆したが、「その経緯を示す明快な資料や証拠がない」と説明。「今回は寸法記に従い、総合的な判断として前回の復元を踏襲するが、検討の余地はある」と述べた。向きについて、各委員から異論はなかったという。
委員会では他に、防火対策として正殿北側外壁面に避難口を新設することや、正殿の瓦当文様や屋根瓦の色調を、18世紀後半から主流となっていた赤瓦とすることなども確認した。
(当銘千絵)
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