「やるべきこと残っている」新沖振法5年期限案に沖縄の経済界は?


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 2022年度からの新たな沖縄振興計画の根拠法となる法律の適用期限について、15日に開かれた自民党沖縄振興調査会(小渕優子会長)の会合でこれまでの10年から5年に短縮する案が浮上した。観光や飲食業などを中心とした、対面型サービスの多い沖縄経済は、新型コロナ感染症の流行で大きな打撃を受けており、経済回復の道筋は見えていない。県経済界は期限の短縮方針におおむね理解する姿勢を示す一方で、沖縄振興には長期的な取り組みが必要だとする意見が相次いだ。

 沖縄経済同友会の渕辺美紀代表幹事は「10年から5年への短縮は戸惑いがある」と驚きを隠さない。「時代の変化が早くなっているのも事実だが、自立経済への道は22年から5年後で終わるものではない。やるべきことは残っており、政府は沖縄の実情をよく理解していると思う」と語り、沖縄振興について長期的な視点が必要だとの見解をあらためて強調した。

 県経営者協会の金城克也会長は「5年への短縮案は予想されたこととはいえ、残念であるが、このような案が出たことについては重く受け止めたい」と冷静に受け止める。「いずれにしても、まずは高率補助、一括交付金、沖縄振興税制など現行の諸制度が継続されることが重要なことであり、延長の期間も含め、自民党沖縄振興調査会の議論を見守りたい」とコメントした。

 沖縄観光コンベンションビューローの下地芳郎会長は「経済的にも社会的にも課題がある中では、長期の計画が望ましい」と持論を述べる。短中期的な施策見直しの必要性に触れ「変化が激しい社会で内容を見直すのは当然だが、沖縄振興を10年間という明確なメッセージは大切だ。観光もコロナからの回復にまだまだ時間がかかり、長期のビジョンが必要だ」と訴えた。

 JA沖縄中央会の大城勉会長は、社会情勢がめまぐるしく変化する中で、5年単位で施策を見直す必要性に理解を示す。これまで政府に対し、「島しょ県沖縄の地理的不利を解消する新たな制度や、農業と地域の振興が両立するよう各種施策の実現を訴えてきた」と主張。その上で「農業は他産業より長期的な政策が必要だ」と強く要望した。

(小波津智也まとめ)

 


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