沖縄観光にまた打撃…ホテルのキャンセル増加 コロナ急拡大によるイベント中止も影響


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新規感染者がゼロの日もあった昨年11月は、修学旅行生らが訪れ、那覇市の国際通りは賑わいを取り戻しつつあったが、感染者の急増で先行きが危ぶまれている=2021年、同市久茂地

 新型コロナウイルスの爆発的な感染拡大が、回復の兆しを見せ始めていた観光業にまたしても打撃を与えている。既に沖縄県内のホテルなどでは、予約のキャンセルが生じている。県内では、昨年10月に緊急事態宣言が解除されて以降、観光客が増加。年末年始の航空旅客数は2019年度の8割程度まで戻り、1月以降は延期となっていた修学旅行の予約が集中するなど、回復が期待されていたが、暗雲が漂っている。 

 本島中部のホテルは、沖縄市で開催予定だったバスケットボールBリーグオールスターゲームの中止などによって、団体を中心に6日までに予約の1割程度がキャンセルされた。ただ、個人客のキャンセルは少なく、2月にはプロ野球キャンプや人気バンドのコンサートに伴う宿泊予約も多く残っている。ホテル経営者は「2月以降に影響が出ないでほしい」と切実な思いを語った。

 恩納村のカフーリゾートフチャクコンド・ホテルは、年末年始に満室の日もあるなど好調で、1月は150件、2月は140件の予約を受け付けていた。しかし5日に新規陽性者が600人を超えたことを受け、キャンセルが出始めている。

 担当者は「今年は修学旅行も過去最多の117件を受ける予定だが、どうなるか分からない」と話した。

 修学旅行も懸念

 1~3月の修学旅行は昨年延期になった学校が集中し、例年の同時期よりも予約が多い。昨年12月21日時点の同時期の実施予定校は、新型コロナ拡大前の19年比で48・7%増の443校、人数は63・7%増の8万5749人となっていた。沖縄観光コンベンションビューローによると、年度をまたげない事情などから実施を表明する学校もあるが、感染状況などの問い合わせが旅行社や県に相次いでいる。

 那覇市内のホテルは、コロナ禍で個人客の取り込みに苦戦しており、修学旅行が頼みの綱だ。1月に8校の予約が入っているが、キャンセルを想定している。総支配人は「修学旅行でやっと盛り返したのに、困る。もうまな板の上のコイだ」とため息をついた。

 支援を要望

 観光業など、飲食店以外の業種へのより強力な支援を要望する声は根強い。おきなわ彩発見キャンペーン第4弾は昨年11月に始まったばかりだったが、わずか2カ月足らずで停止となった。予算は約59億円で、消化率は昨年12月20日時点で21%程度にとどまっていた。県によると、飲食店への協力金の総支給額(12月28日時点)は約1348億9523万円に上る。観光事業者は「経済支援のあり方はおかしい。飲食店以外にも、雇用や固定費などの支援が必要だ」と強く訴えた。 (中村優希)


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