オミクロン猛威の沖縄、驚異的速度で置き換わり 医療、学校、成人式はどうなる?


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 5日の新型コロナウイルス新規感染者は、昨夏の第5波ピーク時に匹敵する623人となった。小康状態だった昨年末から一転し、瞬く間に感染が全県に広がった。新変異株「オミクロン株」が猛威をふるっているとみられる。医療逼迫(ひっぱく)の懸念は増し、保健所の業務も一部停止に追い込まれた。エッセンシャルワーカーへの感染で社会機能の停止も危惧される。県立学校は新学期から分散登校となることが決まり、成人式中止の動きも出てきた。

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 新型コロナウイルスの感染「第6波」が急速に広がっている。昨年12月28日時点で本部町を中心とした北部に集中していたが、年明け1月4日には中南部地域にも幅広く拡大した。この間、感染の主流は米軍基地を基点に感染力が強い「オミクロン株」に急速に置き換わったとみられる。

 県は、直近1週間当たりの人口10万人当たり新規感染者数が25人以上となった地域に「注意報」を出し、会食を「4人以下2時間以内」にすることなどを呼び掛ける。1日から、全県に注意報を出している。

 注意報基準を超える自治体は、昨年12月28日時点で本部町、今帰仁村、東村の3町村。デルタ株の流行が見られた北部に集中していた。

 年明け1月4日までの1週間で見ると、那覇市や沖縄市、うるま市など本島中南部や、医療基盤がぜい弱な島しょ地域にも広がり、合わせて19市町村になった。

 感染拡大の要因は、オミクロン株への急速な置き換わりだ。県によるとオミクロン株は感染者数が2倍となるのにかかる期間が2・8日と、昨年大流行したデルタ株の7日と比較し半分以下だ。

 県内では昨年12月17日に米軍キャンプ・ハンセン従業員からオミクロン株の感染が初めて確認された。ハンセンでは同月15日以降、部隊配置計画(UDP)で沖縄に移動してきた米軍関係者による集団感染が続き、オミクロン株の流行が懸念された。県はハンセン従業員やハンセン周辺の飲食店従業員らを対象とした無料検査を実施し、封じ込めに傾注した。だが、その後オミクロン株感染者はキャンプ・シュワブや嘉手納基地の従業員からも確認され、懸念は他の基地にも飛び火した。

 ハンセンの軍関係者でオミクロン株の流行が確認されたのは同月29日。昨年9月以降、来日した米軍関係者は米国からの出国時に事前のPCR検査を実施していなかった。ワクチンを2回接種していれば基地内、基地間移動が可能だったことも判明。基地をまたぐ感染を防ぐことができなかったと見られる。

 県内では先に感染が広がった北部地域では病床数がひっ迫している。

 宮古病院も4日、診療を一部制限すると発表した。県感染症対策課の嘉数広樹課長は5日「今後、病床逼迫は避けられない」と危機感を示した。
 (知念征尚)


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