prime

「変わったと思われることが辛かった」結婚、子育て…ミキトニーさんが「シフトチェンジ」できるまで


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
仕事や育児について語る糸数美樹さん=2021年12月29日、沖縄市(喜瀨守昭撮影)

 沖縄県内のテレビやラジオで活躍するタレントの「ミキトニー」こと糸数美樹さん。2020年7月に長女を出産し、コロナ下で子育てと仕事に励む日々を振り返った。結婚、出産、育児―とライフステージが変わる中では葛藤や戸惑いを感じることもあった。そこから新たな自分へとどう「シフトチェンジ」したのか。

(聞き手・吉原玖美子)

■コロナ下の子育てで感じた苦しさ

ー2021年はどういう1年でしたか

2020年7月に娘が生まれたんですけど、本当にそれからずっともうほぼ娘のことしか考えていないというくらい、子育てに没頭した1年でした。 その中で少しずつ自分のペースで仕事をしていきつつ、子育てで感じたことを形にしていくための準備期間という感じです。

コロナ禍で娘をどこにも連れて行けず、家の中にずっと閉じ込めているのがすごくかわいそうで。母親として何もしてあげられてない苦しさがあって。 それがとっても辛くて。そう思ってる人たちが、多分ほかにもいっぱいいるだろうなと思って。 親も子どもも安心してのびのびできる、親もしっかりリラックスできるイベントを企画していたんですけど、コロナでなかなかできなかったんです。いつかは絶対実現させようと思ってます。

ー緊急事態宣言もありましたしね

全然ダメでしたね。 私自身の結婚式も考えたけどそれもダメで、ずっと今も延期中。私ができることは、その同じ思いを持ってる人たちの気持ちに寄り添ってあげることだと思うので、2022年はそういうことを発信していきたいと思います。

■「変わったね」が寂しかった

―子育てして仕事への向き合い方は変わりましたか

変わりました。 今までは自分本位の仕事の仕方だったのが、娘中心なので、そこから見える世界が違う。 言葉でうまく説明できないんですけど、違うんですよね。

見えてる世界が違うから、仕事に対する取り組み方とか向き合い方、発信の仕方が変わってきたのかなっていう印象はあるんです。

「ミキトニー変わったな」と思われる方も多分いると思うので。「変わったね」と思われるのが最初はすごく寂しくて、辛くて。自分が自分じゃなくなったみたいな不安もあったんですけど、少しずつそれでもいいんだと、自分を受け入れて、そういう自分が好きになってきているところではあるので、自分自身の変化の1年でもあったという気がします。

―変わったねと言われることが嫌だった

嫌だったんです。 「面白くなくなった」「タレントとして価値がなくなった」と言われたみたいですごく嫌だったんです。 でも、そう思われてもいいやじゃないけど、今の私は今の私だから、このまま今の私として仕事をして、それを共感してもらえたらいいなという方向に自分自身がシフトチェンジできて、気持ちがすごく楽になりました。

それこそラジオやってた時代に「彼氏ができた」って公表したんですが、そしたら「なんか面白くなくなるはずね」みたいなことを言われたことがあって。しかもそれを人づてに聞いて。みんなそういう気持ちで見てるんだって思って。

多分そこからなんですけど、ライフステージが変わるごとに今まで受け入れてくれた層が変わっていくことがすごい怖かったんです。特に女性って、人生においてステージはたくさん変わっていくので、それにしがみついてももう意味ないし、自分と同じようにライフステージが変わることに戸惑う人たちがいっぱい世の中にいるなら、そこに寄り添そう立場でやりたいなと思いました。 結婚して子育てして…私にとってすごく大事な経験だったので、むしろよかったなと思っています。

■葛藤の1年でそぎ落とされたもの

葛藤の中で生きてきたかなこの1年は。コロナ禍で考えないといけないことがベースにあっる中で子育てして、仕事して、家庭があって…もう頭ん中パンクしそうで大変だったんですよね。

―考えなきゃいけないことのベースって、例えばどんなものがあったんですか

新型コロナウイルスが広がる中でどう生きていくか、みたいなことを深く考えさせられました。コロナの時代だからこそ、無駄がそぎ落とされた印象もあって。なくてもよかった時間がそぎ落とされて、自分の時間を贅沢に使えたっていうのはあるような気がします。

―2022年はどんな年にしたいですか

2022年はもう、ウジウジしててもしょうがないので、明るい話題をたくさん届けられるような、何か「みんなで頑張っていこうぜ」と言えるようなことをやっていきたいなと思う。

なんかそういう人の背中が押せることをどんどん発信していこうかなと思います。

人とのつながりとか、人に会いたいって気持ちが湧き出てきた1年でもありました。

人と毎日会える、当たり前の日常がなくなったじゃないですか。コロナが落ち着いてきたら、人の温かさとか、そのあたりの楽しみを伝えられたらいいなと思います。

合わせて読みたい

Coccoが語る「育児」 母になると人は変わる?

沖縄から大きく羽ばたき、唯一無二の輝きを放ち続けるアーティストCocco。今年8月の「終戦の日」に合わせ、祖父母の戦争体験を軸としたインタビュー記事を掲載した。 …