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1000人以上の女性エンジニア育成 MAIAが築く高単価収入の仕組み<企業の「女性力」>10


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女性がもっと自由に自分らしく働けるように取り組んでいるMAIAの月田有香CEO=2021年12月、那覇市泉崎の琉球新報社

 人生100年時代に、“自分らしく生きる”未来を共に創造する―。IT関連企業MAIA(マイア、東京)は女性の自立を支援しており、これまでに全国で千人を超える女性エンジニアを育成している。最高経営責任者(CEO)の月田有香氏(40)=兵庫県出身=が女性がもっと自分らしく働けるようにと、2017年に同社を設立した。県内でも21年、沖縄市に拠点を設け活動している。

■二度の離婚

 世界経済フォーラムが21年に発表した男女平等の度合いを示すランキングで、日本は156カ国中120位。先進国の中で最低水準となっており、女性活躍への意識の低さが浮き彫りとなっている。

 29歳から起業している月田氏も、仕事と家庭の両立の厳しさに直面していた女性の一人だ。「起業すると、家庭とのバランスが難しい。当時の夫や夫の家族からは『なんで好きなことをやっているのか』と応援してもらえなかった」と振り返る。

 起業への理解が得られずに夫とは別れることに。その後に再婚しても、仕事に忙殺されるようになり再び離婚した。「生きづらさを感じていた。家族のことを優先して、自分のことを二の次と思う女性がたくさんいる」と切実な体験を語った。

 労働政策研究・研修機構が実施した調査(20年5月末時点)では、新型コロナウイルスなどの影響により男性の休業者比率が1・6%に対し、女性は5・3%で、特に未成年の子どもがいる女性は7・1%に達している。

■在宅勤務でも

 月田氏は「女性にとって今の社会は、家事と仕事を両立しながら活躍できる仕組みになっていない」と主張。日本では女性が家事や子育てを担う割合が高く、ワークライフバランスを取ることの困難さを指摘する。

 マイアでは、女性に技術を指導し、DX(デジタルトランスフォーメーション)に携わる人材を育成している。プロを養成することで在宅勤務でも高単価の収入を得られるようになり、女性が自立できる仕組みを築く。

 月田氏は「私たちが支援する女性は、フルタイムではなく1カ月当たり40~120時間の範囲内で働きたい。在宅勤務であれば、ほとんどが働ける」と説明し意義を強調する。沖縄は離婚率が高く、シングルマザーも少なくない。育成した人材と企業とのマッチングも実施しており、自立をさらに後押しする。

 「沖縄が持っている課題とマイアの女性活躍支援は、直接つながっている。これからも沖縄で女性DX人材を生み出し、県外企業が沖縄の人材を奪い合いにくるように努力する」と、今後も女性の支援に注力する。
(呉俐君、写真も)


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