県営住宅、4月から「連帯保証人」廃止へ 沖縄県、2月議会に提案


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沖縄県庁

 沖縄県は1日までに、県営住宅の入居条件としてきた「連帯保証人の確保」規定を廃止することを決めた。身寄りのない高齢者や低所得者などの住宅困窮者にとって連帯保証人の確保が入居の壁となっている事例が多く、保証人を不要とすることで住まいを確保しやすいようにする。県は4月からの実施に向け、15日に開会する県議会2月定例会に関連の条例改正案を提出する。

 県によると、2021年3月末時点で県営団地は133カ所、総戸数は1万7345戸。「連帯保証人の確保」規定が廃止となれば、借り手の署名だけで入居できるようになる。

 保証人は主に家賃の滞納が発生した場合への備えだが、入居希望者には高齢や障がいなどを理由に、保証人を頼める親類や知人を見つけられない人が少なくない。保証人制度が妨げとなり入居を拒まれたり、あきらめたりする事例をなくすため、公営住宅が果たす役割の上からも廃止を求める声が上がっていた。

 公営住宅の入居に連帯保証人を不要とする動きは全国的にも広まっており、県内でも那覇市など7市町村が条例を改正している。豊見城市と八重瀬町も21年度中の改正に向け、それぞれ議会に改正案を提出する。

 県の担当者は「公営住宅は住まいのセーフティーネット(安全網)であり、入居希望者の負担軽減は長らくの課題だった。家賃滞納の増加を懸念する声もあるが、多角的な対応で発生の回避に努める」と述べた。

 県によると、県営住宅の21年度末の家賃の収納率は91・1%。県は業務委託する県住宅供給公社に専門相談員を配置するなど、家賃滞納が発生しないよう対策をとってきた。連帯保証人規定の廃止後も、収入が不安定な入居者と福祉制度をつなぐ仕組みを構築するなどの取り組みを強化する。

 連帯保証人の廃止を訴え、県議会への陳情活動などを展開してきた県司法書士会の安里長従常任理事は「住まいの確保は貧困対策の一丁目一番地だ。ぜひ市町村にも波及してほしい」と期待を寄せた。 (当銘千絵)


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