沖縄の子育て世帯23%が貧困 県はヤングケアラー支援へ 次期対策に165施策


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 子どもが生まれた環境に左右されずに成長できる社会の実現を目指す、県子どもの貧困対策推進会議(議長・玉城デニー知事)が2日、県庁で開かれ、2022~26年度に実施する165施策をまとめた貧困対策計画の素案を決定した。

 県は同日、0~17歳の子を育てる世帯の困窮割合が23.2%になるとした最新調査の暫定値を報告。16~21年度の計画では困窮世帯の割合が十分に改善していないとして、新計画では公共料金の未払いや医療機関の受診控えなどを主要項目にした44の指標を設定した。

 165項目の重点施策の中には、家事や家族の介護などを担う18歳未満の「ヤングケアラー」の実態調査や支援を追加した。保護者への支援施策の中では、SNSを活用した相談支援で、悩みを抱えた妊婦と産婦人科へ同行する支援などを行う。また、貧困の一因となる若年出産などの問題に対応するため、児童生徒ら「子どもの居場所」作りの一環として性に関する相談支援に力を入れる。
 

 

 子育て世代の所得向上策として、従業員の給与増額に取り組む企業を認証する「所得向上応援企業認証制度」(仮称)を新たに創設するという。

 玉城デニー知事は「子どもの貧困問題は県政の最重要課題の一つ。誰一人取り残さない、沖縄らしい優しい社会を構築していきたい」と、県庁各部局に取り組みを呼び掛けた。

 県は7日にも一般向けパブリックコメント募集を開始する。その後に有識者会議を経て各指標の目標値を設定し、3月に計画を策定する。

(嘉陽拓也)
 

 


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