里親委託解除、審議会に諮らず 沖縄県「年末年始、いとまなく」


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 生後2カ月から養育していた児童(5)の里親委託を児童相談所が一方的に解除し、里親から引き離したのは、児童に大きな精神的ダメージを与える違法な対応だとして、那覇市の小橋川学さん(56)と久美子さん(55)夫妻が県に里親委託の解除の取り消しなどを求めた訴訟を巡り、児相が1月5日付で里親委託を解除する前に、有識者でつくる審議会に諮っていないことが、県への取材で分かった。専門家からは「解除前に審議会の意見を聞くべき事案だった」との指摘が上がっている。

 小橋川さん側は、昨年12月16日付で審議会に諮問することなどを求める要望書を児相側に出していた。児童福祉法の施行令では、措置を解除する際に児童や保護者の意向と一致しない場合「児童福祉審議会の意見を聴かなければならない」と規定する一方「緊急を要する場合で、審議会の意見を聴くいとまがない時はこの限りではない」とし、事後報告を認めている。

 沖縄では県社会福祉審議会の児童福祉専門分科会・審査部会が審議を担う。県青少年子ども家庭課の担当者は、委託解除前に審議会を開いていないことを認め「年末年始で開催のいとまがなかった。1月に開いた会で報告している」と述べた。10日にも審議会を開くとしているが、内容は明らかにしないとしている。

 小橋川さん側によると、昨年3月頃から児相側が、実親ではないと知らせる「真実告知」と、実親との面会を強く求めるようになった。児童の状況から、小橋川さん宅で生活しながら実親と交流していくよう求めたが、児相は今年1月4日に児童を引き取った。


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