上智大の三浦まり教授らでつくる「地域からジェンダー平等研究会」は8日の国際女性デーに合わせ、各都道府県の男女平等の度合いを政治、行政、教育、経済の4分野に分けて分析した「都道府県版ジェンダー・ギャップ指数」の試算を公表した。指数は「1」に近いほど平等を示すが、政治は1位の東京でも0・292と低く、全都道府県で男女格差が大きい。行政は鳥取、教育は広島、経済は沖縄が平等度トップだった。政治、行政、教育、経済の4分野ごとに、背景や沖縄の課題についてデータを基に探る。
政治分野は30位と、四つの分野で最も低い。内訳を見ると女性ゼロ議会は45位。都市部と地方で県内格差が大きいとみられる。市町村長の男女比は20位となっているが、那覇市の城間幹子市長以外は全員男性。歴代知事に女性はゼロ。全国的にゼロの地域がほとんどで、全体が低いため他県と同列の順位でそれぞれ20位、8位となっている。
行政分野は16位、教育分野は15位と健闘している。しかし県庁の大卒程度の採用は男性の比率が高く、市町村役場の管理職も男性比率が高い。
教育分野で特筆すべき点は、大学進学率は男性42に対し、女性は42・8と若干女性が高い。ただ、他県と比べ大学進学率が低い沖縄は、男女共に進学者が少ないのが現状。
経済分野で男女格差が最も小さいとされ1位となった沖縄。非正規労働者など「フルタイム以外の仕事に従事する男女間の賃金格差」と「社長数の男女比」の指標でも最も差が小さかった。2
ただ、今回の調査で賃金格差が小さい順に並べると、上位を占めるのは地域別最低賃金の額が低い県という傾向がみられた。男性と同等に稼げているから差が縮まっているのではなく、男性の賃金が抑えられていることが要因となった可能性がある。地域格差と男女格差の両方を解決していく必要がある。
社長数の男女比を調査した東京商工リサーチは、サービス業が盛んな地域で女性社長が多い傾向があると分析。沖縄などは「就業環境が厳しく、女性が『自身で起業しよう』という流れが生まれやすいのではないか」としている。
一方、企業の管理職、農協役員などはほぼ男性。経済指標1位と言えども、組織の重要なポジションは男性が占め、女性登用は進んでいない。 (知花亜美)
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