「憲法違反」「弾圧だ」デモ参加者怒り 陸自が新たな戦いに「反戦デモ」想定


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防衛省

 陸上自衛隊が新たな戦いとして「反戦デモ」を想定していたことに対し、デモなどに参加する県内の団体や関係者は「憲法違反だ」「弾圧だ」と問題視した。県民の4人に1人が犠牲になった沖縄戦を経験した沖縄では、戦争につながる米軍基地や自衛隊基地の撤去、整理縮小、新設などに反対するデモが各地で長く続いてきた。最近ではロシアによるウクライナ侵略に反対する集会やデモも頻繁に行われている。 

 戦争につながる軍事基地建設に反対する「辺野古新基地を造らせないオール沖縄会議」の糸数慶子共同代表は「怒りで、はらわたが煮えくりかえる。とんでもないことだ。表現の自由が奪われると独裁国家になってしまう」と厳しい言葉で非難した。

 在沖米海兵隊が2月に米軍那覇港湾施設(那覇軍港)で実施した、デモに対する警備訓練とみられる様子が確認されたことが思い出されるとして「ここでも日米は一緒だ。反戦デモができなければ国民はどうやって意思表示すればいいのか。『弾圧』としか言えない」と批判した。

 30日までにロシアのウクライナへの軍事侵攻に抗議する集会を計5回開いてきた沖縄平和運動センターの岸本喬事務局長は、南西諸島での自衛隊やミサイル部隊配備の動きと「符合している」と見る。陸自の動きを、反戦デモの参加者を大量に拘束し、言論統制を図るロシアに重ね「対テロと同様に封じ込めようとするのは理解できない。権威主義的な国家と同じことをするのか」と問題視した。

 那覇市の県民広場で28日、ウクライナ避難民支援の募金を求める街頭宣伝を主催した憲法改悪反対共同センター。構成団体の一つ県労働組合総連合の穴井輝明議長は「デモや集会を取り締まるなどすれば憲法違反だ。戦争を始めようとしているとしか思えない。戦前の治安維持法を想像してしまう。エスカレートして少し話しただけでも捕まってしまうのでは」と危機感を示した。 (仲村良太)


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