県内小売最大手のサンエー(宜野湾市)の社長が27年ぶりに交代する。創業者の後を継ぎ1995年から社長を務めてきた上地哲誠氏(72)が退任。新社長には家電部門を立ち上げた専務の新城健太郎氏(53)が就く。代表権を持つ会長の折田譲治氏(73)も同時に退任し、創業者とともに経営に携わった役員はゼロになる。新型コロナウイルス禍でも堅実な経営を続けてきた同社がこのタイミングでトップを交代するのは変化のスピードが速い時代に対応するためだ。
■進むデジタル化
5日の会見で上地氏は「非常に激動期。変化の節目だ」と切り出した。コロナ下で、テレワークが進み、買い物の仕方も変わった。デジタル化はあらゆる場面で進み、小売業界も例外なく、デジタル化を迫られている。上地社長は現状に触れ、「次の世代にバトンタッチして、より柔軟な発想と時代にマッチした経営体制を構築したい」と強調した。
東京証券取引所のプライム市場では、取締役のうち独立社外取締役を3分の1以上とし、企業統治を高めなければならないと定められたことも、会長と社長の同時退任を後押しした。
■変化の先頭に
サンエーはこの2年間、大幅な役員人事を行ってきた。2020年には当時専務だった中西淳氏(現ローソン沖縄社長)と常務だった今中泰洋氏(現サンエー運輸社長)が退任。21年には監査等委員の諸見明良氏が退任し、創業者時代からの経営陣は折田氏と上地氏だけになっていた。今回、2人が退くことで、完全に世代交代となる。
新たに社長に就任する新城氏は八重瀬町出身。琉球大を卒業し、92年にサンエー入社。サンエーが初めてフランチャイズ契約を結んだ家電のダイイチ(現エディオン)との提携事業を立ち上げから進め、27歳で電器部長に就いた。2007年には38歳の若さで取締役に就任した。14年からはネットスーパーやオンラインショップなどネット販売部の責任者も務めるなど、変化のタイミングで先頭に立ってきた人物だ。
上地社長体制の27年間は、創業者が作った経営基盤を元にさらに事業を拡大してきた。強さの秘密を問われた上地氏は「創業以来の理念に磨きをかけながら、仕組みについては時代に合わせて変える。全社員で同じ目標に向かってやってきたのが強さだ」と答えた。
コロナ禍、原油価格高騰という課題を抱える中で社長に就任する新城氏。上地氏が挙げた強みを生かしながら、柔軟な発想で新たなサンエーを作り出せるか、手腕が注目される。
(玉城江梨子)
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