【名護】県指定天然記念物で、「生きた化石」と呼ばれる「イボイモリ」(イモリ科)が3月31日、名護市屋部の平野聡太郎さん(46)宅の庭先にいるのが見つかった。見つけたのは平野さんの長女で屋部小学校5年生の平野菜月さん(10)。菜月さんは「大きなヤモリだと思って調べてみたら天然記念物のイボイモリだと分かってびっくりした」と目を丸くした。
イボイモリはイモリやサンショウウオの仲間(有尾類)の中でも特に原始的な特徴を残している種で山林に生息する。全長13~18センチ。国内希少野生動植物種に指定され、沖縄島、瀬底島、渡嘉敷島に分布するが、本島南部ではほぼ全滅したとされる。
菜月さんは昨年の夏休みの自由研究で、庭で見掛けた昆虫など約30種類の生き物の観察記録とともに食物連鎖などをまとめた。それ以来日課にしているという庭先の生き物観察の最中、約16センチの黒い生き物を見つけた。
最初は毒のあるトカゲだと思ったという。動きがゆっくりだったため、特徴をじっくり観察し、図鑑やインターネットを利用して正体を突き止めた。
県指定天然記念物だと分かり、驚いた父の聡太郎さんが名護市に連絡し、市教育委員会文化課文化財係の宮里ひな子さんが確認した。宮里さんは「イボイモリは貴重な種だ。これから繁殖の季節を迎えるので山から出てくるのを見掛けるかもしれないが、触らずにそっとしてほしい。ロードキル(交通事故死)の事故も発生しているので、特に夜中の運転の際は気をつけてほしい」と呼び掛けた。
イボイモリは平野さん親子に見守られて自宅近くの草木に戻った。菜月さんは「こんなに貴重な生き物を見ることができると思っていなかった。自然を大切にし、大人になっても観察を続けたい」と声を弾ませた。聡太郎さんは「また同じイボイモリか、繁殖して増えたイボイモリに会えるよう、自然を大切にできれば」と話した。
(松堂秀樹)
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