prime

大好きな沖縄を、想う オーディフホールディングス社長・村野勝子<仕事の余白>


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 小学、中学校を自然あふれる佐敷町(現南城市佐敷)で育った。感受性豊かな時に素晴らしい環境で過ごせた経験と思い出は今でも大切な宝物である。潮風の香りを感じながら、サトウキビ畑の中を友人たちとおしゃべりしながら下校した光景は今でも鮮明によみがえる。

 近所には父方の祖母が住んでおり、年の近い従姉妹(いとこ)たちとよく祖母宅に集まった。祖母は私たちを並んで座らせ、よく戦争の話をしていた。疎開先へ向かう船の中でまだ乳児だった叔父に銃が向けられ、けれども必死に幼い子供たちを守ったこと、戦争がどんなに恐ろしいことかを涙ながらに語って聞かせた。

 初回は簡単な自己紹介を載せたいと考え、改めて振り返ってみた時、真っ先に浮かんだのが大好きな故郷と今は亡き祖母との思い出である。県外に出たうちなーんちゅはほとんど皆そうだと思うが、離れている時ほど故郷を想うものである。19歳で上京した私も、慣れ親しんで育った場所のことをいつも想いながら暮らしていた。8年前、家業を継ぐため長年生活していた東京を離れるのは勇気がいることではあったが、帰沖するのであればとことん沖縄のために尽くしていこうと心に決めた。

 今年、弊社は39年目を迎える。まさにサンキュー「感謝」の年である。創業からの理念である地域社会への貢献は従業員一同何より大切にしている想いであり、これからも食を通し沖縄の未来を創造し続けていきたい。