【記者解説】米軍オスプレイ部品落下、なぜ飛行続けるのか 日本全体に影響も


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米軍普天間飛行場へ着陸する垂直離着陸輸送機MV22オスプレイ=2021年8月、宜野湾市内(金良孝矢撮影)

 昨年8月の米軍普天間飛行場所属の垂直離着陸輸送機MV22オスプレイの部品落下事故では、事故から数日後の段階でまとめられた報告書で、不適切な整備の可能性といった発生要因の指摘が上がっていた。米軍はその前後の県や宜野湾市、政党などの抗議要請で原因を明確にせず、同型機の飛行を続けた。事故原因や再発防止策について県民への説明をないがしろにし、運用を優先する体質が改めて浮き彫りになる。

 >>一報はこちら>>オスプレイ部品落下は設計上の問題 普天間所属機21年事故 米軍報告

 事故報告書は、ブレードフェアリングの落下については設計上の問題や、同系統機共有の課題であることが示唆された。米軍横田基地(東京都)に米空軍がCV22を配備し、自衛隊もオスプレイ導入を進めており、影響は日本全体に波及する可能性がある。

 事故当初、在沖米海兵隊は「構造的でないとみられる事故機固有の問題」と説明し、同型機を飛行停止しなかった。だが、事故機だけでなく同系統機種に共通する要因が内部で示唆されていたことが明らかとなったことで、地元に対する説明との食い違いが露呈し、事故発生後も飛行を強行した根拠は成り立たなくなっている。

 また、琉球新報の情報公開請求に米軍が開示した報告書はA4用紙66枚。うち16枚は記述の大部分か全部が黒塗りとなっている。開示された範囲では、事故原因を特定する記述は確認できなかった。

 報告書の記載に基づき、琉球新報は二つの部品の落下原因について在沖米海兵隊に改めて質問したが、16日までに回答はない。

 在沖米軍は航空機関連の事故のたび原因公表を曖昧にしたまま同型機の飛行を再開し、次の事故を起こすという対応を繰り返してきた。米中対立が深まる中、住宅地上空での物資つり下げなど米軍機訓練がかつてなく激化しており、住民の危険性が増している。
 (塚崎昇平)

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