豚の移動を効率化、輸送用かごを改良 仲村渠さんに創意工夫功労者賞


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受賞を喜ぶ仲村渠稔氏(左)と前門尚美農業振興統括監=19日、県庁

 2022年度の科学技術分野の文部科学大臣表彰で、県家畜改良センターの農林水産技能員、仲村渠稔氏が「創意工夫功労者賞」に選ばれた。豚の出荷や豚舎間移動に用いる豚輸送用のかごを改良し、業務の効率化につなげたことが評価された。19日、県庁で表彰状伝達式が行われ、前門尚美農業振興統括監から賞状とメダルが贈られた。

 仲村渠氏が考案したのは、床に傾斜を付けた豚輸送用かご。出入り口部分の高さを従来の17センチから5センチと低くすることで、豚の乗降を容易にした。乗降作業の際に豚が段差を怖がるため、改善前は作業員3人がかりで搬出入していたが、改善後は1人で対応できるようになった。

出入り口部分の高さが17センチある従来の豚輸送用かご(左)と、改善後の傾斜型のかご(県家畜改良センター提供)

 かごに取り外し可能な中仕切りを取り付けたことで、種雄豚2頭を仕切って運んだり、中仕切りを取り外して子豚5~10頭を同時に運んだりと、用途に合わせた多目的な輸送も可能にした。

 仲村渠氏は、1頭250キロある種雄豚は特に気性が荒く、移動作業には危険が伴うと説明した。「豚がストレスなくかごに出入りすることで作業の効率が上がり、危険性も回避できた」と喜んだ。
 (当銘千絵)