沖縄復帰50年の建議書を決定 玉城県知事、上京し首相らに提出へ 辺野古断念、地位協定改定を要求 


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復帰50年建議書を発表する玉城デニー知事=7日、県庁

 沖縄県は7日午前、沖縄の日本復帰50年に合わせ、今なお残る課題の解決と、県民の望む将来像の実現を要求する「平和で豊かな沖縄の実現に向けた新たな建議書」を庁議で決定した。基地問題の解決を共通の目標として取り組んでいくことを政府に求め、米軍普天間飛行場の移設に伴う辺野古新基地建設の断念や、日米地位協定の抜本的改定などを盛り込んだ。玉城知事は10日に上京し、岸田文雄首相ら政府首脳や衆参両議長、駐日米国大使らに直接提出する方向で面談の調整を進めている。

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 庁議後に記者会見した玉城デニー知事は「復帰当時の県民の願いを引き継ぐとともに、次の時代のため、世界と交流し、ともに支え合う平和で豊かな美ら島沖縄の実現に向けて歩み続けなければならない」と建議書策定の意義を述べた。

 新たな建議書は、米施政権下で起きた事件事故、復帰後の沖縄振興などに触れ「復帰時に県と政府が共有した『沖縄を平和の島とする』目標は50年が経過した現在においても、いまだ達成されていない」と指摘した。

 その上で、辺野古新基地建設を巡る政府の対応について「民主主義や地方自治など、民主主義国家の根幹に関わる重大な問題を顕在化させた」として、新たな基地建設が国民的議論や国会での議論を経ることがないまま進むことへの異議を申し立てた。

 県民の思いを踏まえた上で①「復帰措置に関する建議書」の考え方を尊重し、「基地のない平和の島」の実現に取り組む②辺野古新基地建設の断念など、構造的・差別的な基地問題の早期解決③日本国憲法が保障する民主主義や地方自治の理念の追求④平和的な外交・対話による緊張緩和―を求めた。

 沖縄の日本復帰直前の1971年、琉球政府の屋良朝苗主席(当時)が政府に、地方自治権や基本的人権の確立、反戦平和、県民本位の経済開発などを求める「復帰措置に関する建議書」(屋良建議書)を提出した。県は新たな建議書策定に当たり、屋良建議書と現在を比較検証し、自治権の在り方や基地負担、経済など各分野について有識者からの意見を踏まえて取りまとめた。

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