2021年の沖縄県警による大麻取締法違反の摘発は150件、摘発者は149人となった。摘発者は過去10年で最多。うち、10代は36人(前年比10人増)で全体の約24%を占め過去最悪となったことが21日までに、県警のまとめで分かった。10代の割合は沖縄は全国を約6ポイント上回り、10代の薬物汚染は深刻な状況にあるとみられる。
▼薬物摘発226人最悪 未成年が急増、汚染深刻化 21年沖縄県警まとめ
警察庁によると、21年の全国の同法違反による摘発者は5482人(前年比448人増)。8年連続で増加し、過去最多を更新した。全国的に増加傾向にある。
県警の21年の統計では20代の摘発者が70人と最も多い。10代(36人)と合わせ、20代以下の若年層が約71%を占める。16年の大麻取締法違反による摘発は89件、79人。このうち、20代が42人、10代は7人だった。5年で10代は約5・1倍、20代以下は約2・2倍に膨れ上がった。
21年に県警が押収した乾燥大麻は約1271グラムで、前年の約4172グラムから減少した。一方、前年までは統計上に見られなかった、大麻から幻覚成分THC(テトラヒドロカンナビノール)を抽出した「大麻濃縮物」の押収が急増した。大麻リキッドなどの「電子たばこ用大麻濃縮物」の押収量は約17グラム。大麻ワックスなどの「その他の大麻濃縮物」は2163グラムに上り、乾燥大麻の押収量を上回った。
県内の大麻事情に詳しい男性によると、乾燥大麻に比べて、大麻リキッドは高値で取引される。携行しやすく、臭いが少ないとされるリキッドやワックスが若年者に好まれる傾向にあるという。「ここ数年、学生や会社員など一般の人が大麻を持っていることが目に付く。大麻をさばいているのは暴力団関係者というより、いわゆる堅気の人が多い。インターネットさえあれば、誰でも取引できる」と言及する。
県警は、引き続き薬物事犯の根絶に向けて取り締まりを徹底し、需要の根絶、供給源の遮断を行うなど総合的な対策を講じていくとしている。
(高辻浩之)
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