沖縄「慰霊祭」コロナで2町村が中止、12市町村は縮小 平和行進も3年連続中止


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 6月23日の「慰霊の日」前後に沖縄県の各市町村が主催する慰霊祭について、新型コロナウイルス感染拡大の影響で、粟国村と久米島町の2町村が中止を決め、未定を除く12市町村全てが規模を縮小することが24日までに、本紙の取材で分かった。新型コロナの感染拡大が沖縄戦の追悼と継承の場に影を落とす状況が続く。県遺族連合会と日本遺族会主催の「平和祈願慰霊大行進」は3年連続で中止を決めた。

>>慰霊祭中止・縮小で新たな手法模索も

 粟国村と久米島の中止は3年連続。久米島は関係者による焼香を行う。未定は与那原町、南大東村、多良間村、竹富町。それ以外の12市町村は例年より規模を縮小する。規模縮小としている自治体のうち、宮古島市や石垣市は感染対策を施しながら、昨年よりは規模を拡大するという。石垣市は式典後に一般も自由参列できるよう焼香台を設置する。

 遺族や関係者らが糸満市役所から平和祈念公園まで約8・5キロを歩く平和行進の中止について、県遺族連合会の宮城篤正会長(80)は「残念だがやむを得ない」と語る。遺族の高齢化や県内の新型コロナの感染状況、追悼式への参列が不透明なことを理由に挙げる。

 遺族らは例年、終着地の平和祈念公園で県主催の沖縄全戦没者追悼式に参列するが、県は追悼式の縮小を検討中。宮城会長によると、平和行進には県外からも多くの遺族が来る。県に遺族が追悼式の会場に入れるか確認したところ「分からない」との返答だったため、同会は会場に入れない可能性もあると判断し、中止にしたという。 (中村万里子まとめ)