普天間PFAS 国も把握か 米軍、18年に情報提供 メールに資料参照番号


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米軍から沖縄防衛局(ODB)へ情報提供を示唆するメールの文面(又吉康秀撮影)

 在沖米海兵隊の2016年2月調査で、普天間飛行場内の消火訓練施設で現行の国の暫定指針値の576倍に当たる有機フッ素化合物(PFAS)が確認されていた問題を巡り、沖縄防衛局が18年10月時点でこの調査記録を入手していた可能性があることが9日、分かった。本紙が米国の情報公開制度で入手した米軍関係者のメールに、防衛局への情報提供をうかがわせる記述があった。

 本紙は防衛局に調査記録入手の有無を質問したが、同局は「詳細については相手方との関係があるため、回答を控える」と言及を避けた。県内では16年に嘉手納基地周辺の河川などで高濃度PFASが発表されるなど、基地周辺での水汚染に対する懸念が高まっていた。防衛局はこれまでこの調査記録を公表していない。18年時点で調査記録を入手していながら、公表しなかったのであれば、日本政府のPFAS汚染問題への対応が問われる。

 本紙が入手したのは在沖米軍関係者らが、基地のPFAS汚染を巡る報道対応を協議するメールの記録。18年10月30日の在沖米海兵隊関係者のメールでは、PFAS関連報道に言及し「記事中の資料の参照番号」を送信先に伝えている。

 本紙に開示されたメール記録は宛先が削除されている。だが、文面には在沖米海兵隊に対する「防衛局の協力への謝辞」が強調され、同局職員宛てであることがうかがえる。

 参照番号を元に米政府サイトから調査記録を入手したところ、PFOA(ピーフォア)が1リットル当たり1800ナノグラム、PFOS(ピーフォス)が2万7千ナノグラムの検出が記録されていた。結果は16年2月18日付。

 同調査について本紙は、在沖米軍から関連資料を入手して今年5月26日付で報道した。防衛局が18年時点で入手していた可能性がある資料は、本紙が報道で用いた資料とは別のものだが、数値は一致している。本紙報道などを受けた5月30日の国会答弁で防衛省側は「米側に当時の状況を確認している」と答弁した。
 (塚崎昇平)


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