「PFOSの物語あおるだけ」沖縄県の協議要請を拒否 在沖米軍関係者のメール内容


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米軍が公開した2016年2月のPFASに関する調査結果の資料。1リットルにつきPFOAが1800ナノグラム、PFOSが27000ナノグラムの検出が記録されている

 本紙が米国の情報公開制度で入手した2018年当時の在沖米軍関係者による有機フッ素化合物(PFAS)に関するメールには、汚染報道を巡る協議記録もあり、生活用水の汚染を危惧する県民意識とかい離した米軍内の認識が鮮明となった。PFAS汚染を解明しようと協議を求める県の要請について「PFOSの物語をあおるだけ」と米軍は拒否した。

 米側の協議記録によると、県は16年と17年、米海兵隊にPFOS研究状況について協議を要請している。県の要請は16年1月に米軍嘉手納基地を通る大工廻川(沖縄市)などから高濃度のPFAS検出が発表され、米軍基地由来のPFAS汚染への懸念が高まっていたことなどが背景にあるとみられる。米側はこの要請を「二国間協定や(在日米軍の)日本環境管理基準(JEGS)に反していない」として応じなかった。

 県側は基地内のPFAS汚染状況に対して、米国の情報の自由公開法(FOIA)に基づく開示請求を米側にしていた。この姿勢に対して海兵隊当局者は「環境順守は(日米)二国間協定の問題だ。県に防衛局を紹介し、FOIAより適切なチャンネルで(県の)懸念を認識し、対処できるようにした」としている。

 県によると、米軍などに直接資料を請求しても思うように情報が得られなかったため、開示請求を用いたという。環境部環境保全課の横田恵次郎基地環境対策監は「開示請求も正当な手段だ」と説明する。だが、その後も米側からの県への資料提供は流出事故などの概要を記したもののみで、詳細は把握できないままだ。

 米軍基地でのPFAS汚染で、県や国の立ち入り調査が認められた事例は、流出事故発生後などに限られる。

 県は基地周辺の水のPFAS汚染の原因究明のため普天間飛行場、嘉手納基地、キャンプ・ハンセンの立ち入り調査を求めているが、実現しないままだ。横田氏は「普天間飛行場周辺は基地が汚染源のがい然性が高く、引き続き調査を求めたい」と述べた。
 (塚崎昇平)


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