県指定の天然記念物で国内希少野生動植物種に指定されているイボイモリを、インターネットオークションに出品したとして、種の保存法違反(販売目的広告の禁止)の容疑で、県内の20代男性が県警に摘発されていたことが13日までに、関係者への取材で分かった。専門家は「沖縄の動植物への関心は高まっている。ネットで違法な取引が続けば、生態系を脅かしかねない」と警鐘を鳴らしている。
摘発されたのは、海外に生息する別品種としてネットオークションにイボイモリを出品していた男性で、2021年5月、本紙が違法性を疑う報道をしていた。
琉球列島の固有種であるイボイモリは、世界自然遺産登録地の沖縄島北部や渡嘉敷島などに分布している。国内希少野生動植物種の指定に加え、国際取引を規制する「ワシントン条約付属書3」に掲載されている。
関係者によると、20代男性は県内でイボイモリを採取し、ネットオークションに出品。即決価格5万円としていた。サイトの閲覧者などから、「(希少種の)イボイモリではないか」などの指摘を受け、出品を取り下げている。男性は「(イボイモリは)採取した場所に帰した」などと話しているという。
県警は男性の関係先を家宅捜索し、21年8月、種の保存法違反容疑で書類送検した。その後、不起訴処分となった。
種の保存法違反について県警はこれまでにイボイモリやウミガメなどをネットオークションで取引するなどしたとして、今回を含めて8件、10人を摘発している。 (高辻浩之)
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