社会
沖縄戦77年

中学生が考えた武器を置く「強さ」 昨年の「平和の詩」朗読に誹謗中傷…傷ついた心が見つけたこと

宮古島市全戦没者追悼式で平和の詩「Unarmed(アンアームド、非武装)」を読み上げる上原美春さん=23日午後、宮古島市平良の市未来創造センター

 【宮古島】「私たちは弱いから先に武器を置こう 武器を置くことを 命どぅ宝と言い切れる勇気を 私たちの強さと呼びたい」。23日、宮古島市で開かれた市全戦没者追悼式で西辺中3年の上原美春さん(14)は、自作の平和の詩「Unarmed(アンアームド、非武装)」を読み上げた。相手を傷つけることでしか自分を守れないことを「弱さ」と訴え、命を尊び、人の痛みが分かることが「強さ」なのだと語り掛けた。

 詩は「偽善者だ お前が戦争に行けばいい 死んでしまえばいい」との言葉から始まる。上原さんが昨年、浴びせられた言葉の一部だ。2021年の慰霊の日、上原さんは糸満市摩文仁で開かれた沖縄全戦没者追悼式で県内児童、生徒を代表して自作の「みるく世(ゆ)の謳(うた)」を朗読した。多くの称賛を得た一方、一部の人間から誹謗(ひぼう)中傷を受けた。

 「つらかった。耳にふたをしてやり過ごした。悔しくて痛くて、この痛みをどう分からせてやろう」。言われのない攻撃を受けて傷ついた心に「どす黒い雨」が降った。

 今年5月、沖縄は日本復帰から50年を迎えた。インタビューに答える高齢女性の報道を目にした。平和を願うある言葉が耳に焼き付いた。「どちらも武器を置きなさい」。沖縄戦を経験し、絶望を見てきた世代のはずだ。「憎く悔しくなかったのだろうか。やり返してやろうと思わなかったのだろうか」

 自問を重ねる中で、相手を憎むことによって傷ついた自分や仲間を守ろうとすることこそが「弱さ」だと思うようになった。戦禍を耐え、悲しみを抱えててもなお許す心、武器を置ける「強さ」に気付いた。「憎しみが何を産んできたのか。命こそ大切なものじゃないか」

 表裏一体にある人間の強さと弱さ。弱さゆえに犯してしまう過ちもあれば弱いからこそ優しくなれることもある。終戦から77年がたった。上原さんは「私の弱さも強さも、人への思いやりや、平和へのかたくなな決意にしていきたい」と語った。
 (佐野真慈、写真も)

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