国策に抵抗、平和訴え続ける 森根昇さん(7)捕らわれた日<読者と刻む沖縄戦>


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CTS闘争当時に森根さんが打ち鳴らした鐘=うるま市与那城屋慶名

 森根昇さん(81)=うるま市=が戦後暮らした与那城村(現うるま市与那城)屋慶名一帯では米軍基地に絡む事件・事故も起きました。女性が被害に遭う事件もあり、「住民は自警団をつくっていました」と森根さんは語ります。

 1972年の施政権返還後、石油備蓄基地(CTS)建設を巡って地域が混乱します。石油備蓄量増大という国策を背景とした計画によって深刻な対立が引き起こされます。

 中学校教師となった森根さんは「金武湾を守る会」を牽引(けんいん)した安里清信さん、崎原盛秀さんらと共にCTS阻止闘争を闘います。国策への抵抗でした。運動の最中、激しい衝突もありました。不穏な動きを察知した時にはボンベで作った鐘を打ち鳴らし、住民に知らせました。鐘は今も自宅庭にあります。

 現在、沖縄市平和ガイドネットワークの代表世話人として平和運動に取り組んでいます。沖縄戦体験が活動の根っこにあります。地域を分断した国策の怖さを知ったことも、平和運動につながっています。

 森根さんは生死を分けた薮地(やぶち)島での体験を見つめ続けています。21日も宜野湾市内の中学校で講話し、沖縄戦体験と平和の尊さを語りました。

 (森根昇さんの体験は今回で終わります。次回から森松長孝さんの体験です)