サンエー新社長が語るこれからの戦略 原料高騰や円安…沖縄の小売業はどう向き合うか


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サンエー社長、新城健太郎氏

 沖縄県内小売最大手のサンエー(宜野湾市)の社長に、5月26日付で新城健太郎氏が就いた。社長交代は27年ぶり。原料価格の高騰、円安など小売業界にとって厳しい状況の中で、県内トップ企業をどうかじ取りしていくか、新城氏に聞いた。

 ―社長に就任して1カ月が過ぎた。

 「全員参加の経営、そのための企業理念の浸透はずっと言われているし、理解しているつもりだったが、感じ方が変わった。(前社長の)上地は創業者と共にサンエーの1号店からやってきて、全ての業務に非常に精通していた。自分が同じようにできるはずがない。1人では何もできないと考えた時に、ますます社員1人ずつに主体性を持って経営に参画してもらわないといけないと実感した」

 ―物価高、円安の影響は。店頭価格には転嫁しているのか。

 「各メーカーの値上げは、それが合理的な理由であれば受け入れている。店頭価格は4~5割の商品が1年前より値上げしている。1品あたり2%くらい上がっている印象だ」

 ―消費者の動向は。

 「価格を据え置いているプライベートブランド(PB)商品を選ぶ方が増えてきている。(PBの)くらしモア、ローソンセレクトに固定客がつくチャンスと捉えることもできる。一方、付加価値の高い商品とそうでない商品の価格差が小さくなっているので、付加価値の高い商品へスイッチする動きもある」

 ―DX(デジタルトランスフォーメーション)はどう進めるか。

 「社内の生産性向上のためのDXはこれまでも取り組んできたが、お客さまの利便性向上のためのDXが弱かったので力を入れていく。3月に始めたサンエーアプリは現在13万ダウンロード(DL)で、年内に20万DLを目指す。利便性を高めるには決済機能も必要だ。お客さまとつながり、近くに感じてもらうためにアプリの機能は拡充していく。パルコシティの食品館でフルセルフレジを試験導入したが、好評なので大型店を中心に広げていく」

 ―沖縄の人口は昨年がピークだったという分析がある。今後の出店計画に影響するか。

 「本土に比べると沖縄はまだまだ恵まれている。ビジネスチャンスがあるので本土からのホテルや外食などの進出が相次いでいる。コロナで結婚、出産を控えた人が多くいたのは一時的なものかもしれない。社会的増加はまだ続くので、人口が急激に減るとは考えにくい。出店の余地は十分あると考えている。ただ建築費が上がっているので慎重に見極めないといけない」

 (聞き手 玉城江梨子)

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