3万人超の健康観察…連日深夜まで「限界に近い」 感染爆発の沖縄、コロナ対策本部のいま


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 新型コロナウイルスの感染急拡大で医療や介護現場が逼迫(ひっぱく)している現状を多くの県民に伝えるため、沖縄県対策本部は29日、那覇市の県庁内にある感染症総務課、感染症医療確保課、ワクチン検査・推進課の業務を報道陣に公開した。陽性者の入院調整や、3万人を超える自宅療養者の健康観察など多忙を極めている。約370人の職員が対応に当たる。新規感染者数の増加に比例し業務も膨大となり、連日深夜まで残業が続いているという。(嘉陽拓也)

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入院・宿泊調整などの業務をこなす県新型コロナウイルス対策本部の職員ら=29日午前、県庁(大城直也撮影)

 

入院調整

 県対策本部内の大型スクリーンには、コロナ患者を受け入れる重点医療機関の入院患者数や入院調整枠が表示されている。7月中旬からは入院調整枠も数人程度の空きしかない日々が続く。

 入院調整を担う医療コーディネーターの医師には、病院や福祉施設から患者の転院要請が入るが、対応できる医療機関はなかなか見つからない。そのため、コロナ入院患者の対応は県全域の総力戦の様相だ。
 

自宅療養の管理

 県庁地下1階にある健康管理センターでは看護師や県庁職員など約140人体制で患者に電話などで健康状態を確認する。7月は新規感染者が4、5千人の日が続く。連日深夜まで作業が続いており、昼休憩も十分に取れないという。

 県感染症医療確保課患者管理班の本永誠治班長は「今の人員体制では限界に近い。(他部署からの)増員も厳しい」と語った。
 

訪問看護の派遣調整

 重点医療機関が診療制限を続けている影響で、高齢者福祉施設などで感染した利用者は施設内療養を余儀なくされている。感染症医療確保課が設置したホワイトボードには、訪問看護が必要な患者の氏名や対応施設が列記されていた。患者数の増加に対応が追い付かず、担当者は「受診が必要な高齢者などに訪問看護を割り当てられないほど、厳しい状態だ」と語った。
 

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