玉城デニー知事が1期目の任期満了を迎える9月29日まで、残り2カ月を切った。豚熱や首里城火災、新型コロナウイルスなどに見舞われる中、沖縄の日本復帰50年の節目を迎え、第6次沖縄振興計画を策定し、沖縄の将来像を描く取り組みを推進した。2018年の県知事選では「新時代沖縄」「誇りある豊かさ」「沖縄らしい優しい社会」を掲げ、291項目の公約を示したが、4年間で「完了」したのは8項目にとどまる。玉城知事の公約を点検しつつ、4年間の県政運営を振り返る。
沖縄本島北部地区の医療提供体制の充実に向けて、玉城知事は「北部基幹病院の早期実現」を公約に盛り込み、基盤整備を進めてきた。2020年7月に基本的枠組みが合意し、県立北部病院と北部地区医師会病院の二つの病院を統合する「公立北部医療センター」が26年の開院に向けて、動き出した。
医療の充実や「健康福祉社会」の実現に向けて32項目の公約を掲げ、離島医療の充実、薬剤師不足の解消に向けた薬学部の設置などを目指したが、取り組みが完了した項目はなく、引き続き課題となっている。
主要政策に掲げた「県LGBT宣言」については、マイノリティーを排除せず、尊重し合う社会づくりを目指した。21年3月に性の多様性を尊重する県性の多様性尊重宣言「美ら島 にじいろ宣言」を発表。誰もが自分らしく生きられる機運の醸成を推進した。
玉城知事が重点施策の一つとする子ども支援は新たな制度を創設した。20年には「県子どもの権利尊重条例」を制定し、各種取り組みを進めた。22年度から子ども医療費助成事業を拡大し、中学卒業まで通院・入院費を無料化するなど取り組みを進めた。
主要政策の一つとして子育て世代包括支援センターを全市町村に設置するとの公約を打ち出し、18年から整備を推進。現在は24市町村に設置が完了したが「全市町村の設置」の実現はかなわなかった。子どもの貧困対策に関し、「沖縄子どもの未来県民会議」の取り組みを推進し、行政や民間の幅広い支援体制を構築するとしていた。だが、コロナ禍で民間を巻き込んだ施策展開は十分にできなかった面もあった。
(池田哲平)
【玉城知事の4年と公約点検】