辺野古新基地問題この4年を振り返る 軟弱地盤で設計変更、法廷闘争へ<玉城知事の4年と公約点検>①基地問題


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 玉城デニー知事が1期目の任期満了を迎える9月29日まで、残り2カ月を切った。豚熱や首里城火災、新型コロナウイルスなどに見舞われる中、沖縄の日本復帰50年の節目を迎え、第6次沖縄振興計画を策定し、沖縄の将来像を描く取り組みを推進した。2018年の県知事選では「新時代沖縄」「誇りある豊かさ」「沖縄らしい優しい社会」を掲げ、291項目の公約を示したが、4年間で「完了」したのは8項目にとどまる。玉城知事の公約を点検しつつ、4年間の県政運営を振り返る。

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 米軍基地問題で「普天間基地の閉鎖・撤去を求め、辺野古新基地の建設・オスプレイ配備に断固反対」と公約した玉城知事。普天間飛行場の辺野古移設に伴う新基地建設を巡り、政府が大浦湾にある軟弱地盤の存在を認め、完成の見通しは立っていない。軟弱地盤改良のため沖縄防衛局が提出した設計変更申請を玉城県政は不承認とし、今後は法廷闘争への移行が想定される。

 沖縄防衛局によると名護市の米軍キャンプ・シュワブ沿岸の埋め立てでは、今年6月末までに全体の約11・6%にあたる約236万立方メートルの土砂が海に投入された。これにより辺野古側の埋め立て区域では必要量の約73%の土砂投入が完了した。一方で、埋め立て工事全体で使用する土砂約2100万立方メートルのうち8割が、軟弱地盤がある大浦湾側で使われる。

 防衛局は2020年4月に地盤改良工事に伴う設計変更を県に申請したが、県は21年11月に土木・環境などの調査不足を指摘して不承認にした。

 県側は不承認について「公有水面埋立法に基づき厳正に判断した」とあくまで行政上の判断と強調してきた。国土交通相は防衛局の申し立てを受けて県の不承認を取り消し、承認するよう是正指示を出した。国側の対応を巡って、県は総務省の国地方係争処理委員会に審査を申し出た。

 沖縄防衛局は設計変更申請で本島南部を土砂採取地に加えたことから、県民から沖縄戦戦没者の遺骨が工事に使われる可能性が指摘された。糸満市米須での土砂採掘計画も浮上し、申請について県と事業者間で主張が対立してきた。

 県は今年6月、総務省の公害等調整委員会(公調委)が示した合意骨子案受け入れを表明し、開発を容認した。玉城知事は設計変更を不承認にしたことを挙げて「代替施設の建設事業に埋め立て土砂として搬入されることはない」と強調した。

 玉城県政は辺野古新基地建設については反対を堅持する一方で、那覇港湾施設(那覇軍港)の浦添移設は容認する。20年8月に県と那覇市、浦添市の3者が軍港代替施設をふ頭の北側に配置する案で事実上合意。今年3月にT字型の軍港形状案を国が県などに提示し、県などは形状案について検討を進めている。

(塚崎昇平)

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